「鼻綿棒」でPCR検査17回――カメラマンが体験した国際大会の感染対策とは
ファンの代わりの目になって伝える責任がある
スポーツは文化でもある。人間が脈々と生活を営んできた歴史のなかでは、常に文化が伴走していた。田口さんはコロナ禍によるスポーツ文化の衰退も危惧している。 「アメリカもコロナの影響で、スポーツがあまり報道されなくなっています。それは仕方がないことですが、スポーツにとってボディーブローのように後から効いてくるのではないかと思うんです」 だからこそ、現場に立つ以上は最大限の感染対策を施したうえで全力を尽くす。無観客試合だからこそ、ファンのためにメディアが果たす役割は大きいと田口さんは考えている。 「メディアはファンよりも選手に近寄れる分、ファンの代わりの目になって伝える責任があると思うんです。こういう時だからこそ『勝った、負けた』だけじゃなく、スポーツの魅力、本物のアスリートの姿を伝える。それが現場の人間の使命ですから」 --- 田口有史(たぐち ゆきひと) 1973年静岡県生まれ、福島県育ち。サンフランシスコ芸術大学在学中からフリーランスとして活動を始める。年間150日程度渡米。メジャーリーグ(MLB)を中心に世界中の様々なスポーツを撮影。MLB日本開幕戦及びWBC公式フォトグラファー。 菊地高弘(きくち・たかひろ) 1982年生まれ、東京都育ち。野球専門誌「野球太郎」編集部員を経て、フリーの編集者兼ライターに。近著に高校野球の越境入学生をテーマにした『オレたちは「ガイジン部隊」なんかじゃない! ~野球留学生ものがたり』(インプレス)がある。