<AI化>が最も進むのはズバリ金融。「ロボアドバイザー」普及でさらなる人員削減も…AI研究家「意思決定者だけ残すことで利益率があがる」
2024年5月にアメリカのオープンAIが、人間とほぼ同じ速さで音声対話ができる対話型AIの新モデル「GPT-4o」を発表し話題になっています。そのようななか、人工知能研究者の川村秀憲教授は「<AI失業>が日本でも増える可能性がある」と危惧しています。そこで今回は、各業種のAI化が今後どれだけ進むのかという見通しをまとめた川村教授の自著『10年後のハローワーク これからなくなる仕事、伸びる仕事、なくなっても残る人』から「金融」業界のAI化について解説します。 【イラスト】将来は、お札に印刷される人物までロボットに!? * * * * * * * ◆金融 AI化率90% AI化がもっとも進む業界。ごく一部の人以外は不要になる可能性が大きい 私が、もっとも大胆かつ大幅にAIによる代替が起こると考えているのは、金融の世界です。 金融業は、お金を集め、お金を融通していく仕組みですが、そのさまざまな過程においてAIのほうが人よりも上手に、しかも確率的に有利な答えを出すことができます。 結果として「意思決定」できる人だけが残り、金融業界の利益率はよくなります。 一方で、多くのホワイトカラーは居場所を失うでしょう。 本格的なAIの登場前から、金融業界では情報化による効率化の波が押し寄せています。 人間関係とさまざまな景品で保険契約を集めていた外交員のかわりに、人々はスマホで保険の見積もりを自由に出せるようになりました。 ネットバンキングやネット取引が普及し、わざわざ銀行や証券会社の店頭に出向く必要性は激減しました。 その証拠に、多くの店舗が統合や閉鎖となりました。
◆銀行の領域を侵食する可能性 こうした状況に、AIはさらなる大きな変化をもたらします。 これは、受付や質問の回答をAIのチャットボットが行うような例だけに限りません。 金融業の本質は、業務の効率化やIT化以上に、貸出先や投資先のリスクとリターン、保険の引き受け条件や、さまざまなマーケット情報の分析にあるからです。 AIはその分析の作業を、極めて迅速かつ正確に行います。 決算はデータ化できますし、取引先や事業分野もまた同様です。 金融はもともと確率を追い求めるビジネスだと言えますが、それこそまさにAIの得意分野です。 あとは、融資するかしないかの決定を行うだけです。 銀行だけではありません。 融資先の信用力がAIによる安価で確度の高い分析で見定められるならば、銀行を通さずに高い利回りを狙って行うソーシャルレンディングなどの直接金融が一段と発達しやすくなり、銀行の領域をいっそう侵食する可能性もあります。
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