<AI化>が最も進むのはズバリ金融。「ロボアドバイザー」普及でさらなる人員削減も…AI研究家「意思決定者だけ残すことで利益率があがる」
◆保険業界、証券業界でもAIを活用 同じことは、保険業界でも言えるでしょう。 そもそも保険を引き受けるかどうか、あるいはどのような保険商品を設計していくらで販売するかは、リスクを分析したうえでリターンを決める分析の作業です。 さらに細かく見れば、契約時のカスタマイズや顧客からの保険金請求、さらには不正請求の防止に至るまで、すべてでAIが活用できます。 しかもこの動きは、すでに世界中の保険会社で始まっています。 証券業界など投資の世界も同様です。 顧客の注文を取り次ぐだけであればAIはそこまで大きな影響はありませんが、最近は投資自体をAIに任せる投資信託が大きな好評を得ていると言います。 いわゆるロボアドバイザーですが、このうち投資判断まで一任するタイプの金融商品の資産残高は、大手5社では、最近5年間で9倍に増えたそうです。 成績の出ていない投資商品が人気を集めるわけはありませんので、実績も出ていると考えられます。 素人の自分があれこれ考えて失敗するくらいなら、安価であればAIに任せたほうがいいという流れができあがりつつあるわけです。
◆AIには担えない判断 私は金融業界のAI化率を90%としました。 金融では、究極的にはお金そのものが大切なのであって、人の重要性はあくまで判断をするその瞬間だけです。 そして、残る10%のなかには、決してAIには担えない判断が含まれるでしょう。 たとえば、まだ海のものとも山のものともわからない、検証できるデータのない新しいビジネスです。 AIが分析すれば高リスク、投資不適格となるかもしれませんが、未来予測ができて意思決定できる人には、そこに大きな投資や融資のチャンスが見いだせるかもしれません。 ※本稿は、『10年後のハローワーク これからなくなる仕事、伸びる仕事、なくなっても残る人』(アスコム)の一部を再編集したものです。
川村秀憲
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