名門校教師語る「国語が苦手だと全科目伸び悩む」 論理的な思考を身に付けるにはどうするか
「文章を書くのが苦手」「何を書いていいかわからない」。そんな悩みを抱く人も多いのではないでしょうか。『一度読んだら絶対に忘れない文章術の教科書』を上梓した辻孝宗先生は、毎年東大合格ランキング上位に入る、全国屈指の難関校・西大和学園で国語を教えています。辻先生が文章書くのが苦手な人でも、書けるようになるためのコツをお話しします。 【写真】『一度読んだら絶対に忘れない文章術の教科書』(辻孝宗著)では、大人にも役立つ文章術を伝授 ■国語ができない生徒は、他の科目もできない 「国語の成績が悪いと、全科目の成績が悪くなる」
これは、学校や塾の先生の間でよく言われる言葉です。 私自身も国語の教員として指導する中で、しばしばこの状況を目の当たりにすることがあります。国語ができる生徒は、英語、数学、理科、社会、とほとんどの教科で点数が取れる。逆に、国語ができない生徒は、ほかの教科でもどこか伸び悩んでしまいます。 いったいなぜなのでしょうか。 私は、国語の授業を通して「論理的な思考ができる能力」を身に付けることができると考えています。この「論理的な思考ができる能力」が欠如している状態だと、どんな勉強においても理解力が下がってしまうと考えます。
では、論理的な思考とは、どのようなものでしょうか。 例えば小さい子どもは、こんなことを口にすることがあります。 「お小遣いがほしい。なぜなら、ゲームはとても面白いものだから」 これは、全然論理的ではありませんよね。「なぜなら」という因果関係を結ぶ接続詞を使っていますが、「お小遣いがほしい」と「ゲームはとても面白い」という内容は、まったく結びついていません。 おそらく「ゲームはとても面白い。そして、ゲームを買うためには、お金が必要だ。だから、お小遣いがほしい」と言いたいのだと思います。しかし、先ほどの一文では「ゲームを買うためには、お金が必要だ」という内容が抜けているので、論理的な整合性を欠いてしまっているのです。
論理的な文は、シンプルに言うと「問いと答えがしっかりと結び付いている文」だと言えます。 もう一度今回の文章を読んでみると、「Q なぜ、お小遣いがほしいのか?」という問いがあって、その問いの答えが「A ゲームはとても面白いものだから」となっています。これでは問いと答えの対応関係が破綻していますよね。 「Q1 なぜ、お小遣いがほしいのか?」という問いの答えを考えるのであれば、「A1 ゲームを買うためには、お金が必要だから」となるでしょう。