名門校教師語る「国語が苦手だと全科目伸び悩む」 論理的な思考を身に付けるにはどうするか
そして、「Q2 なぜ、ゲームを買いたいのか?」という問いがあったとしたら、その答えが、先ほどの「A2 ゲームはとても面白いものだから」となります。 つまり、なぜ「お小遣いがほしい。なぜなら、ゲームはとても面白いものだから」が論理的ではないのかを言うと、「Q1」に対する答えを、「Q2」に対する答えである「A2」でしてしまっているからなのです。 ■問いに対してうまく答えられていない このように、「問いと答えがしっかりと結び付いているかどうか」を考えると、国語の成績が向上し、文章が上手になります。逆に、国語の成績が悪い生徒は、「問いに対してうまく答えられていない」状態に陥っていることが多いです。
もう1つ例を考えてみましょう。「Q なぜ、若いうちは勉強に時間を使ったほうがいいと言えるのか?」という問いがあったとしましょう。 この答えとして、「A いい大学・就職先に行くため」というのは回答になるでしょうか? 厳密に言うとこれも、論理的な整合性が欠けた答えになってしまっています。 「Q1 なぜ、若いうちは勉強に時間を使ったほうがいいのか?」 「A1 勉強することで、将来の自分の選択肢が増えるから」
「Q2 なぜ、勉強すると将来の自分の選択肢が増えると言えるのか?」 「A2 勉強することで、いい大学に合格できる確率が上がり、いい大学に行くといい就職先に行ける可能性が高くなるから」 というように、これも問いの間に、もう1つの問いが挟まっている状態なのです。それなのに一足飛びで答えを考えてしまっているため、論理的ではない思考になってしまっているのです。 そしてこれは、先ほどもお話ししたとおり、国語以外の科目にも影響します。
例えば、社会の授業で「徳川家康は、関東平野に位置する江戸に幕府を置いた」と先生が話したとします。 このとき、論理的な思考力がある人であれば、「なぜ、徳川家康は江戸に幕府を置いたのか」という問いを考えます。 この一文だけを読むと、「江戸が関東平野に位置していたから、家康は江戸に幕府を置いた」と記憶してしまいがちですが、「江戸が関東平野に位置していたから」ということは、「なぜ、徳川家康は江戸に幕府を置いたのか」の答えになるでしょうか? ちょっと違いますよね。