清水草一の自動車10大ニュース 最も心に残った話題は年末に自動車業界のみならず世界を震撼させたあのニュース
元CEOのコメントも話題に
2024年に自動車業界で起こった出来事の中から、自動車ライターの清水草一氏がこれだと持った10つのニュースを選び、「清水草一の自動車10大ニュース」としてランキング形式でお伝えしています。栄えある1位に輝いたのは、年末に自動車業界だけでなく世界の経済界も震撼させたあの話題です。 清水草一氏が選んだ2024自動車10大ニュースの2位はコチラ ◆ただのクルマ好きの1位は? ただのクルマ好きが選ぶ、2024年自動車関連10大ニュース。第1位は当然コレでした。 ◆第1位 ホンダと日産が経営統合に向けて協議を開始 まだ協議開始に過ぎず、決まったわけじゃないけれど、あまりの急転直下ぶりにビックリ! ただのクルマ好きの視点で言わせてもらえば、ホンダと日産(+三菱?)が持ち株会社を通じて経営統合しても、我々ユーザーにとっては、今と大きく変わる部分はないだろう。ゆえに、そんなにうまく行く気もしない。過去の自動車メーカー同士の大型合併を見れば、どうしたってそういう見立てになる。 ◆コストも下がり、リスクも低減 確かに大きくなれば、多少はコストも下がるだろうし、片方がダメな時は片方が助けるという意味で、リスクも軽減される。ルノーやフィアットは、傘下に収めた日産やクライスラーの業績に助けられた時期もあった。逆に、片方がメタメタになれば共倒れするリスクもあるが、その時は切り捨て御免が通例だ。 経営統合と言っても、ホンダ車に日産製のV6ターボが積まれたり、日産車にホンダのe:HEVが積まれたりすることはない(たぶん)。いずれ部品の共有はするだろうが、他社のパワーユニットを借りてきて積んでも、ユーザーにアピールできないし、内燃エンジン系に関しては、どっち高い技術を持っているので、そもそも必要ないはず。 ◆両社経営統合の目的は? 両社が経営統合しようとしている目的は、来るべきBEV&車載ソフトウェア勝負の時代に備えてのことだ。しかしそこに関しては、どっちも弱者。ホンダはマトモにBEVを作れておらず、GMとも決裂してほぼスッカラカンだ。日産だって、2023年のBEV販売台数(グローバル)は12万6848台。世界シェアは1%強にすぎない。そのうち約3分の1は国内専用のサクラで、さらに約3分の1は旧世代EVのリーフ。アリアは何年も生産に手こずっているうちに古くなり、ほぼ忘れられた。日産にはBEV開発の技術はあるが、大量生産する技術や態勢はない。 これはあくまで一クルマ好きの個人的な考えだが、BEVに関しては、テスラと中国勢のブッチギリ態勢は今後も変わらず、差は開く一方だろう。それ以外のメーカーは、自社で車載バッテリーを大量生産できないのだから。 ◆一発逆転は到底ムリか!? 日本人が期待を寄せていた「全固体電池でゲームチェンジ!」も、今や幻。国産メーカーが当初目指していた全固体電池の性能を、テスラや中国勢はリチウムイオン電池の改良で達成しつつある。家電やソーラーパネル同様、もはや勝負はついている。 つまり、ホンダと日産が経営統合しても、BEVで一発逆転は到底ムリ。それよりも、BEV以外の分野に注力すべきだろう。全世界の自動車販売が100%BEVになる日は来ないのだから……(だといいな)。 ってことは、統合する意味があまりないじゃないですか! どうもスイマセン。 文=清水草一 (ENGINE WEBオリジナル)
清水草一