トップダウン型の組織を見直した米菓メーカー 従業員の案から生まれた「サステイナブルおかき」
経営陣が汗をかいたパーティー
2023年に創業100周年を迎え、山田さんは全従業員対象の記念パーティーを開きました。料理などの事前準備から余興、サプライズ企画に至るまで、経営チームがすべて担う熱の入れようでした。 「ただリラックスして楽しんでもらい、従業員が来て良かったと思える会にしたかったんです。結果的に、経営チームのマネジメントに信頼を持ってもらえたらと思っていました」 年中無休の店舗のスタッフも参加しやすいよう、パーティーは1週間に4回も開きました。山田さんは「こうした機会をもっと増やしたい」との思いを新たにしました。
情報開示や多様な勤務を推進
山田さんは働き方改革にも取り組んでいます。2021年から専門機関による「働きがいのある会社調査」を実施していますが、全設問の平均値を取ると、初年度は働きがいを感じている従業員が44%という厳しい結果になりました。 「重く受け止め、決算情報の開示や役員会議へのオブザーバー参加、新商品の全従業員プレゼントなどを行いました」 また、育児休業を取りやすくし、復帰後のキャリアについてのカウンセリング、子どもの看護休暇の拡充、在宅勤務の導入を進めています。夫の転勤場所で在宅勤務している従業員もいるそうです。 「これまでみんなで行ってきた改革が実を結び、前年度は直近8年間でも最高益を実現できましたが、私達はこれからも時代に合わせて変化していかなければなりません。一方、急ぎ過ぎれば社内との足並みがそろわなくなります。アクセルとギアの調整が難しいと実感しますが、チャレンジ精神を忘れず組織一丸で改革を進めます」
フリーライター・田窪綾