「トップ集団と離れていてもサーキットを沸かせる」──ファインダー越しに見た長島哲太×ダンロップの挑戦
新作のオリジナルスイングアームを投入
今回のもてぎラウンドでは、明らかに見た目からして違うパーツが投入されていた。今までの黒いものから削り出しの銀色がプロトタイプ感を漂わせる新しいスイングアームだ。これはアクティブで設計を行い(元TSRでACシリーズの生みの親・光島稔氏によるもの)、チーム名にも入っているパートナー企業の矢作産業で制作された物で、全てにおいて性能アップを図ったものだと言う。チームの藤沢監督も自ら溶接などの手も加えているという。 「JSB1000に参戦している1チームが自分たちで設計して作ってというのはなかなかないと思います。やっぱりモチベーションは上がりますよね」 タイヤも今回全く新しい設計の物が投入された。素人目には一見区別は付かないが形状からして違う物らしい。こちらのタイヤの評価についてはダンロップレーシングチーム・ウィズ・ヤハギ監督である藤沢裕一氏にお話を伺った。 「初日のフィーリングは悪くなかったですし、ポテンシャルも悪くないです。しかし今回はスーパーフォーミュラの四輪のラバーが乗ってしまっていてこのタイヤの性能は確認が取れなかったですね。日曜日、朝のウォームアップでは昨夜の雨でラバーが流れた後だと、そこそこ確認も取れて『ちょっと良くなった』ってなるけど、また四輪が走った後だと確認できる状況ではなかった。でも初日金曜日のフォーミュラがまだ走っていないときにタイヤの状況は当然チェックしているから、そこで今まで自分たちがネガ要素として持って回収しようとしていたことは、すべての段階で良くなったという評価は出せている」(藤沢氏) ちなみにだが、四輪の走行後に貼り付いたラバーの上を二輪が走ると、そのゴムを接地面が拾ってしまってグリップしなくなる。同じ四輪でも現在スーパーフォーミュラで使用しているヨコハマタイヤとブリヂストン・ポテンザのラバーではまたフィーリングも違ってくると言われている。おそらく二輪側もダンロップとブリヂストンでは相性も変わってくるだろう。本来のこのタイヤの性能を確認出来るのは次回オートポリスや岡山でのレースになりそうだ。 藤沢氏は「オートポリスでは何かしらの結果は出ると思います。(オートポリスは)ホンダ車が苦戦しているサーキットなので、ホンダ内での比較になるかもしれないけど、今回ここで良かった所の性能が出てくれば間違いなく前半戦の戦いよりは良くなるはず。現状は(ホンダ勢では)野佐根選手が頭一つ抜き出ているけど全然不安はないし、今の正常進化のタイヤの中でレースはできると思います」と語る。 現在、1周のラップタイムではトップから1秒以上離されている。これについて、まだまだその差を縮めるのは難しいのか? との問いには、「でも、そんな感触は俺には全然ないけどね。その差は詰まると思いますよ。哲が普通に走らせたら」(藤沢氏)と全く迷うことなく答えてくれた。