会社員も“払いすぎた税金”を「過去5年分」取り戻せる… その具体的方法と“見落としがち”な「税制優遇制度」とは【税理士解説】
2025年になり、2024年分の確定申告(期間は2月17日(月)~3月15日(月))の準備が気になる時期になった。確定申告は、個人事業主・フリーランスはもちろん、年末調整を済ませたサラリーマンにとっても決して無関係ではない。各種控除等の税制優遇の制度を利用して税金の還付を受けようとする場合、確定申告が必要となることがあるからだ。 【画像】税・社会保障等の「国民負担率」の国際比較 その際に注意しなければならないのは「申告漏れ」である。「申告漏れ」は支払わなければならない税金だけでなく、所得控除等の有利な制度の利用についても起こり得る。日本の税制は決して分かりやすくはない。自身が対象となっている税制優遇の制度を活用しきれていると確信をもって断言できる人は、そうは多くないだろう。 もし、過去にそのような「申告漏れ」があった場合、払いすぎた額を返してもらう方法はないのか。また、事前に防ぐにはどうすればいいのか。納税者の視点からYouTube等で税金・会計に関する精力的に情報発信を行っている黒瀧泰介税理士(税理士法人グランサーズ共同代表、公認会計士)に聞いた。
払いすぎた税金を返してもらえる「更正の請求」
実は、わが国には、過去に払いすぎた税金を返してもらうことができる制度がある。「更正の請求」という。これはどのような制度なのか。 黒瀧税理士:「更正の請求は、税金を払いすぎた場合、特に、利用できる税制優遇の制度を利用しないまま税金を納めてしまった場合に、5年前の分まで遡って請求できる制度です(国税通則法23条参照)。 『過少申告』の場合には『修正申告』を行い税金を払いますが、それとちょうど逆方向の手続きといえます。 日本の税制は複雑で、誰しも、気付かないうちに税金を払いすぎている可能性があるといっても過言ではありません。 『更正の請求』の制度は、そのような、気付かずに税金を払いすぎた場合に救済を受けるために、大いに役立つものといえます」 更正の請求を行うには、どのような手続きを踏めばよいのか。 黒瀧税理士:「更正の請求の手続きは簡単です。税務署長あてに『更正の請求書』を提出しなければならないのですが、自分で一から文章を書いたりする必要はありません。 国税庁のHPへ行って、『確定申告書等作成コーナー』の『更正の請求書・修正申告書作成コーナー』で、手順に従って必要事項を記入するだけで、自動的に税金の額まで計算し、書面を作成してくれます。 あとは、e-Tax(国税電子申告・納税システム)でオンラインで申告を済ませるか、あるいは、書面をプリントアウトして税務署に郵送すれば完了です。 控除を受けるための証明書等が必要な場合は、それも添付します。 『更正の請求書』の内容が正しければ、『減額更正』が行われ、差額分の還付を受けられます」
【関連記事】
- 「年収103万円の壁」は“誤解だらけ”…実は「130万円の壁」のほうが重要? 壁“引き上げ”の「知られざる問題点」【弁護士解説】
- ガソリン税の上に“消費税”がかかる「Tax on Tax(二重課税)」…35年間「正当化」されてきた“法的根拠”とは【税理士解説】
- 「フィリピンに帰ればいい」生活保護を求める日本育ちの女性が受けた “違法な” 対応…背景にある「制度の誤解」とは【行政書士解説】
- “ガソリン税”は「法的正当性に疑問」? 税率を下げる「トリガー条項」が“凍結され続ける理由”とは【税理士解説】
- 宝くじ「当せん金」への“非課税”制度に落とし穴も!? 「億単位」の“税金”が取られるリスクとは…【税理士解説】