【ABC特集】スムーズに進まない万博のパビリオン建設・・・一体なぜなのか? アルメニアのパビリオン「タイプA」建設断念に至るまで密着したらその理由が見えてきた
このあと、遠藤さんにはつらい仕事が待っています。建設を引き受けてくれた建設会社にアルメニアの「独自パビリオン断念」を、つまり「計画が白紙になったこと」を伝えなければなりません。 (遠藤さん) 「なかなかあの、説明すべき言葉が浮かばないんですけどね。私もぽっかりと穴が開いたみたいで、言葉が出てこないんですが」 (Parkキング建設・大谷社長) 「本気になっていろいろと取り組ませてもらったんですけど、結構な手間もかかってるもんですから、辛いなというところがありまして」 (遠藤さん) 「アルメニアとの契約が解消になるまでは静観をしてもらえればというのが私の思いなんですけども」 (Parkキング建設・大谷社長) 「静観は難しいですね。外注さんにも伝えないといけないですから、外注さんに静観だよって、元請けとしては都合のいい勝手な話になっちゃいますから」 (遠藤さん) 「私のお願いが発端ですから、本当に申し訳ないです。みなさんのエネルギーを私も感じましたし、真剣に取り組んでもらったと思います。お礼を申し上げます。本当にありがとうございました」 遠藤さんにとって初めてのパビリオンは、幻となりました。
6月末、奈良市内。万博の参加国が集まる会議が開かれ、アルメニアの担当者が来日。遠藤さんの姿も奈良市にありました。パビリオンの建設はかないませんでしたが、遠藤さんはアルメニアの担当者に「あるもの」を託したいとやってきたのです。 (遠藤さん) 「全部完成した図面を持ってきました。タイプAは断念ということになっているんですけど、私はこのパビリオンを皆さんが心から気に入ってもらって、本当嬉しいと思っています」 渡したのは、幻となったパビリオンの設計図でした。 (遠藤さん) 「今回は断念して大変申し訳ないと。ただ彼らは非常に私のデザインを気に入ってくれて、それから今後のタイプCについても協力してほしいということを言ってくれました。(タイプAの断念を最初の1週間2週間はちゃんと受け止められていなかったと思いますけど。いまは前向きに自分の中でイメージが作れたと思いますね」 これからも、何らかの形でアルメニアのパビリオンに携わりたい。遠藤さんの模索は続きます。