JR西日本のローカル線、大半で収支改善も赤字続く 「1日の乗客20人」最も厳しい路線は
JR西日本は10月29日、利用者が少ないローカル線の2021~23年度平均の収支を公表した。対象とした1キロ当たりの1日平均乗客数(輸送密度)が2千人未満の17路線30区間全てが赤字だった。うち26区間は収支率が20~22年度より改善。新型コロナウイルス禍の影響が緩和した。赤字総額は4億円縮小した233億円だった。 【一覧表】JR西日本のローカル線の経営状況 輸送密度が2千人を下回るJR西日本在来線で京都府内を通るのは、小浜線東舞鶴―敦賀間(84・3キロ)と関西線加茂―亀山間(61・0キロ)の2区間。同社が29日公表した最新の2021~23年度の平均収支率は、小浜線が13・3%、関西線は11・0%で、いずれも前回公表の20~22年度平均から赤字幅が縮小した。滋賀県の該当区間は無かった。 収支率は小浜線で前回比0・7ポイント、関西線は1・4ポイントそれぞれ上昇した。新型コロナウイルス禍から輸送需要が回復したのが主因という。一方、運賃収入から運行経費を差し引いた21~23年度の平均赤字額は小浜線が15億3千万円、関西線は16億3千万円で、採算は依然厳しいままだ。 JR西日本は22年に利用が少ない路線別収支を初めて開示した。従来通りの運行の維持が難しいとの立場で、沿線自治体などと課題を共有し、まちづくりや公共交通の在り方の協議につなげたい考えがある。 収支率が最も低かったのは芸備線の東城-備後落合間の0・8%だった。23年度の1日平均乗客数は20人で、100円稼ぐのに1万1766円の費用が必要になる計算だ。同区間は3月に全国で初めて設置された「再構築協議会」の対象となっており、在り方の議論が続いている。