【ABC特集】スムーズに進まない万博のパビリオン建設・・・一体なぜなのか? アルメニアのパビリオン「タイプA」建設断念に至るまで密着したらその理由が見えてきた
これでは終わりません。開幕まで1年と迫った4月のこと。ここまで一緒に準備を進めてきた建設会社が、プロジェクトから撤退することに。人件費の高騰などで、費用の折り合いがつかなくなったことが理由でした。 これで本来、4月中に着工するはずだった予定が振り出しに・・・。
それでも、遠藤さんはあきらめず交渉を続け、翌月、新たなパートナーを見つけることができました。普段は立体駐車場を作っている、Parkキング建設という会社です。 (Parkキング建設・大谷智德社長) 「Parkキング建設は鉄骨基礎の特許を持っていて、 それはまさに万博のような建物に使うべき基礎だから、ある意味チャンスかなと」 (遠藤さん) 「大臣は辞めるし工務店は撤退するし。とても大変な数ヶ月だったんですけど。このParkキング建設さんがやってもいいよと、救世主として現われたものですから。奇跡のような出来事だと思っています」 そして5月末、ようやくアルメニアと正式に着工の契約が交わされました。当初から3ヶ月遅れではありますが、7月の着工を目指して準備が再開されました。 「あとは、見守るだけ」ーーーそう思っていたところに、またもや、想定外の事態が。
なんと、アルメニア北部で洪水が発生したのです。地域の交通インフラが壊滅的な打撃を受け、死者も出る大災害になりました。 (遠藤さん) 「一旦経済活動を止めないといけないという第一報が来たんです。洪水がまさかこの時期に起きるのかと。予測もしないことですね」 洪水を受け、アルメニア側から遠藤さんの元に届いたのは「万博のプロジェクトを一時的にストップする」という連絡。 そしてついに、遠藤さんのもとに決定的な知らせが届きます。
(遠藤さん) 「AタイプはやめてCタイプにします というのが、私の手元には2日ほど前に来ました」 アルメニア側の決断は「独自パビリオンの断念」。洪水災害の復興に力を注ぐため、パビリオンの自前での建設はあきらめ、数カ国で共同運営する「タイプC」に変更するというのです。 (遠藤さん) 「出展する国がそう決めたら、それは受け止めざるを得ないですね」