<強者に勝て!・’21センバツ下関国際>支える人/2 野球部寮の調理員 西村恵美さん(44) /山口
◇「お母んのつもり」で 下関国際野球部の寮内にある食堂で、食べ盛りの選手たちの胃袋を満たしているのが調理員の西村恵美さん(44)。「1年生は最初、あどけない中学生という感じだった。この1年で、体つきだけでなく顔つきも変わった。親御さんが見たらびっくりすると思う」と目を細める。 2020年1月の寮設立前は、学校と契約していた近くの新下関食堂(下関市一の宮本町)で、練習終わりの下関国際の選手たちに食事を提供していた。一旦、仕事を離れたものの、たまたまタイミングが合い、寮の食堂で働くことになった。 食堂の時と比べ、栄養士の指導の下、より選手に健康的なメニューに。なるべく油を使わず、例えばチキン南蛮は揚げずにオーブンで焼くなど気を配るようにした。また、白飯を1キロ近く食べる選手たちが飽きないよう、丼もののバリエーションを増やすなど工夫している。 西村さんは、ご飯をつぐ時やおかわりを出すときに「大丈夫?」「食べられる?」と声を掛ける。選手たちは寮で暮らし、家族が県外に住んでいることが多い。20年は、年に1度の帰省も新型コロナウイルスの影響でできなかった。だからこそ、日常での母と子どものようなさりげない会話で選手たちに少しでもリラックスしてもらおうと心掛けている。 20年秋の中国大会後は、準優勝のお祝いでバーベキューを楽しんだ。21年1月からは毎月15日に、西村さんの所属先の会社がある周南市から材料を運び、手作りケーキで誕生日を祝っている。 西村さんには、選手たちと同年代の長女がいる。「(県外から来た選手が多いので)下関のお母んのつもり」。今日も選手たちの健康を食の面から支える。【堀菜菜子】 〔山口版〕