激しさ増す線状降水帯の〝波状攻撃〟、2018年の西日本豪雨は16も発生していた 豪雨災害の被害額は拡大傾向、年間2兆円超えも
発生時期で分けると、台風が日本列島に接近する8~10月が6割で、6~7月の梅雨時期が4割と分け合っており、前後半の10年間でほぼ変化はなかった。 都道府県ごとのまとめでは、20年間で累計被害が最大なのは台風19号の被害が特に大きかった福島県で、8200億円に上った。続いて6500億円の兵庫県、5800億円の岡山県となっている。岡山、広島の両県では7割を18年の西日本豪雨による被害が占めていた。 近年、線状降水帯が発生する集中豪雨が増加しているのに加え、台風の勢力が衰えずに北上したり、北日本付近に延びる前線が停滞したりすることによって、東北地方や北海道でも被害が増えている。 災害の激甚化に国や自治体、私たちはどう向き合えばいいのだろうか。 京都大防災研究所の多々納裕一教授(防災計画)は「統計をみれば、水害被害が近年拡大しているのは明らかだ。想定雨量を引き上げた堤防整備が必要になったり、水害を補償する保険料が上がったり、と影響は多岐に上っている」とした上で「防災予算を有効に使うため、被害を最小化する防災インフラの整備と、被災後もその地域で暮らし続けられる回復力あるまちづくりの両立を心がけることが重要だ」と指摘している。
大雨被害が相次いだ梅雨から夏本番となり、一転、連日災害級の猛暑に襲われている日本列島。8月に入り、台風の季節が到来しつつある。常態化する異常気象と災害への最大級の警戒、備えが欠かせない。