激しさ増す線状降水帯の〝波状攻撃〟、2018年の西日本豪雨は16も発生していた 豪雨災害の被害額は拡大傾向、年間2兆円超えも
その上で2009~20年の4~11月に発生した大雨を分析し、303の線状降水帯が発生していたと認定した。発生数は年平均25に上り、2018~20年の3年間の平均となると、34と顕著になっている。 気象庁によると、線状降水帯は2021年以降も全国各地で発生しており、今年も7月に入ってから、熊本や秋田が豪雨に襲われ、土砂崩れや浸水などの深刻な被害が出ている。発生を伝える「顕著な大雨に関する気象情報」の発表は、発表開始から2年余りで71回(7月末時点)に達していた。 ▽西日本豪雨は4日間に16が連続発生した 303のケースの傾向を調べると、発生エリアは紀伊半島や四国・太平洋側、九州西部で目立つが、北海道や東北でも見られ、全国各地に広がっていることが分かる。広川氏は「日本列島は海に囲まれているため、大雨をもたらす積乱雲を発生させる暖かく湿った空気が流入しやすい。全国どこでも発生しうる。(特に梅雨期は)前線に向かって大量の水蒸気が供給される。上空の風の影響によって組織化しやすくなる」と指摘する。
西日本豪雨では、停滞した梅雨前線などの影響で広島や四国、九州などで記録的大雨が降り注いだ。岡山、広島、愛媛の3県を中心に土石流や土砂崩れ、河川の氾濫による住宅街の浸水などで甚大な被害をもたらした。大雨特別警報は11府県に発令。災害関連死も含め300人以上(直接死222人、災害関連死83人)が死亡し、行方不明者も8人に達した。平成以降で最悪の水害となった。 特筆すべきなのが線状降水帯の数だった。4日間で16もの線状降水帯が次々と発生し、2009年以降の豪雨災害の中で発生数として最多。次に多かったのは、2020年7月の九州豪雨(球磨川が氾濫するなど、熊本を中心に80人以上の犠牲者)で、9つだった。 次に年別で見てみる。年によって増減はあるものの西日本豪雨が発生した2018年が39で最も多く、次いで19年の32、20年の30となっている。月別では梅雨期の6、7月にそれぞれ線状降水帯が64と105発生し、足し合わせると全体303の過半数を占めた。