大麻取締法改正案施行によって何が変わるのか
「大麻使用罪」は新設ではない
「大麻使用罪」は新設ではない 新法施行前後のメディアや個人の発信では、『使用罪新設』という言葉が頻繁に取り上げられていますが、この認識は正確ではないと考えます。 実際には、医療用カンナビノイドが旧法の下では施用できなかったものの、新法により施用可能となりました。 この変更には、THCなどの成分を麻薬及び向精神薬取締法に収載する必要があり、それに伴って使用罪の適用や罪の重さが自動的に附帯されたという経緯があります。 つまり、使用罪を新たに設けたのではなく、医療用大麻製剤を合法的に施用するために必要な法的措置だったと理解すべきです。 こうした背景を正確に伝えるためにも、業界団体が主体となって、メディアや一般の方々に対して正しい認識を啓発する取り組みが重要だと考えます。 特に、新法の目的や構造について誤解を解消し、建設的な議論が進む環境を整えることが求められます。 業界による自浄作用がもたらす可能性 今回のCBD製品に関するルールでは、THC残留限度値や成分分析方法が示されましたが、それをどのように遵守していくかについての具体的な指針は明示されていません。 一方で、厚生労働省はこれまで『業界の自浄作用に期待する』という姿勢を繰り返し示してきました。CBD議連の場でも、この言葉が何度も言及されています。 私が以前から強調しているように、業界を統括する業界団体の設立が必要不可欠です。 この団体は、業界ルールの策定やその遵守を監視・指導する役割を担うべきです。 健全な市場を形成するためには、ルールが設定された後、それを守り抜く努力こそが最も重要であり、業界全体の価値を高めると考えます。 ただし、これまでのカンナビノイド業界の姿勢には反省すべき点が多々あります。 精神作用を持つ合成カンナビノイドのような製品が市場で流行し、大企業が参入できない状況を作り出したこと、そして今回の厳しいTHC基準が業界全体の自浄作用の欠如による結果であることは否定できません。 それでも、ビジネスパーソンとして、現実に向き合いながら必要な改善を進めることが重要だと考えます。 ロジカルではないと感じる点についてはパブリックコメントで意見を述べましたが、それ以外の部分については柔軟に対応し、新たなルールの下で前進していきたいと思います。 繰り返しになりますが、道が狭くなったとはいえ、患者の皆様にとって救われる道はまだ用意されています。 その道を守るためにも、業界全体で自浄作用を働かせ、信頼される市場を構築することが急務です。 結論:規制を守り健全な市場を築くことが重要 大麻取締法改正はCBD業界にとって大きな変革の契機です。今後、業界全体で以下を実現する必要があります: ・ルールの遵守と透明性の確保 新基準に基づく製品開発と販売を徹底する。 ・業界全体での協力体制構築 業界団体を通じて規制遵守を推進し、業界自主規制ガイドラインの策定、製品検査の標準化、違反製品のモニタリングなどを進める。 ・消費者との信頼関係の再構築 適切で透明性のある情報提供を行い、健全な市場を形成する。 健全な市場の実現には、すべての関係者が協力し、共通の目標に向かうことが求められます。新たな協議会や業界団体がその役割を果たす中で、規制を遵守した安心安全な市場が形成されることを期待しています。
柴田耕佑/株式会社ワンインチ(ONE-INCH Ltd.)