「出生前診断」の5つの検査方法とは? NIPTや羊水検査などの精度やリスクを医師が解説
出生前に、赤ちゃんの遺伝的な異常を見つける検査を受けるか迷っている妊婦さんも多いのではないでしょうか。実際のところ、様々な検査項目があり、どれを受けたらいいのか迷っている人も少なくないでしょう。そこで、出生前診断の5つの検査方法の特徴や内容を解説します。「ミネルバクリニック」の仲田先生が各検査のリスクを含め、わかりやすく説明していただきました。 【イラスト解説】「不妊症」になりやすい人の特徴・3つの原因
出生前診断の種類
編集部: まず、出生前診断について教えてください。 仲田先生: 赤ちゃんを出産する前に、病気がないか、何かリスクはないか、などを確認する検査です。出生前診断により、赤ちゃんの状態に合わせた分娩方法や子育て環境を、事前に考えることができる点がメリットとして挙げられます。 編集部: 具体的に、どのような検査があるのですか? 仲田先生: 大きく分けて、以下の5種類があります。 ・羊水検査 ・絨毛(じゅうもう)検査 ・クアトロテスト ・胎児ドック ・NIPT(新型出生前診断) 編集部: いくつか種類があるのですね。 仲田先生: はい。様々な出生前診断の分類法があります。代表的なものに「母体や胎児に対して侵襲的であるかどうか」といった分類法があります。なぜこうした分類がされるのかというと、検査の中には子宮に針を刺すなど侵襲性の高いものもあるからです。そのため、侵襲的検査と非侵襲的検査に分類されるのです。 編集部: そのほかにも、分類する方法はあるのですか? 仲田先生: 検査をおこなう目的によって分類するやり方もあります。ある検査では胎児の病気の可能性を見つけることができますし、またある検査では、胎児の病気を確定することができます。そのため、出生前診断は「非確定検査」と「確定検査」の2つに分けることができます。
出生前診断の様々な検査方法
編集部: 非確定検査には、どのようなものがありますか? 仲田先生: 主におこなわれているのが、クアトロテスト、胎児ドック、NIPTです。クアトロテストは、妊婦さんの血液を採取して、血液中に含まれる4つの成分を調べる検査です。これにより、21トリソミーや18トリソミー、開放性神経管奇形などのリスクを調べます。 編集部: トリソミーとはなんですか? 仲田先生: トリソミーとは、染色体が通常より1本多く、3本ある状態のことです。よく知られている先天的な疾患にダウン症がありますが、これは21トリソミーと言われ、21番染色体が1本余分にあることで発生します。 編集部: 続いて、胎児ドックとは何ですか? 仲田先生: 超音波(エコー)を使用して、お腹の中の赤ちゃんに健康状態や先天性の異常があるか、調べる検査のことを言います。一般的な妊婦健診よりもさらに詳しく胎児の状態を調べるもので、赤ちゃんの骨や脳、心臓の発達や発育に異常はないか、むくみや形態異常がないか、などを見つけることができます。妊娠中期からは、トリソミーなど染色体異常を見つけることもできます。 編集部: 最後に、NIPTについても教えてください。 仲田先生: 母体の血液から胎児の染色体異常、主にトリソミーの可能性について調べる検査です。具体的には母体から採血した血液のなかに浮遊しているDNAの断片を測定します。これにより、染色体異常を原因とする疾患リスクを判定するのです。NIPTでわかることは非常に多く、また検査精度が高いのが特徴です。 編集部: 検査精度はそれぞれ異なるのですか? 仲田先生: はい。非確定検査のなかでは、NIPTが最も精度が高くなります。クアトロテストの場合、的中率は7割程度とされており、また、年齢が高くなると確率も高く出てしまうというデメリットがあります。加えて、胎児ドックは胎児が先天性異常を持つ可能性が高いかどうかを確認するためのものであり、染色体異常を調べる精度はNIPTに劣ります。 編集部: NIPTの的中率はどれくらい高いのですか? 仲田先生: 施設によって幅はありますが、9割以上の的中率とされています。 編集部: これらの検査にリスクはないのですか? 仲田先生: 血液を採取するだけなので、特にリスクはありません。もちろん、注射をするときに多少の痛みを感じるかもしれませんが、胎児に対してもリスクになることはありません。