歯周病治療でよくあるトラブルへのQ&A 問題の原因から対処法まで解説
歯周病治療では「治療後に歯がしみる」「治療を続けているのに症状が改善しない」などのトラブルにどう対処したらいいのか、お悩みの方も実は少なくありません。 【イラスト解説】「歯周病」になりやすい人の特徴《当てはまったら要注意》 そこで、歯周病治療でよくあるトラブルの原因や具体的な対策について、歯周病治療専門クリニックSPIDOの辻先生に解説してもらいました。
【トラブルパターン①】歯周病治療後に「歯ぐきが下がる」「歯がしみる」 その原因と対策について
編集部: 歯周病治療では、治療後に「歯ぐきが下がる」「歯がしみる」という話をよく耳にします。この原因について教えてください。 辻先生: 歯周病治療後に歯ぐきが下がるのは、治療の過程で起こる自然な変化といえます。健康な状態では、一定の厚みのある骨の上に歯ぐきが覆い被さっているのが正常です。 歯周病が進行すると、その内側で徐々に骨が失われていきますが、その段階ではまだ歯ぐきの位置に変化はありません。 しかし、治療でクリーニングや歯石除去を行うと、歯ぐきが本来あるべき位置、つまり残っている骨の位置に戻っていきます。これが、治療後に「歯ぐきが下がった」と感じる要因です。 編集部: そうすると、歯周病が進行した場合、治療後に歯ぐきが下がってしまうのは避けられないということなのでしょうか。 辻先生: はい。歯周病と診断された場合に限っていえば、治療後に歯ぐきが下がるのはむしろ「健康な状態に近づいた」といえます。歯周病治療の目的は、歯と歯ぐきの間にできた「歯周ポケット」をなくしていくことです。 したがって、歯ぐきが下がったということは歯周ポケットが浅くなった、つまり改善がみられたと判断できます。 編集部: では、治療後に「歯がしみる」という症状はいかがでしょうか? こちらの現象についても教えてください。 辻先生: 治療後に歯がしみるのは、先ほどの「歯ぐきが下がる」ことと密接に関係しています。治療によって歯ぐきが下がると、今まで見えなかった歯の根っこの一部が露出します。 この根の部分には、表面を保護するエナメル質が存在しないため、外部から刺激が加わるとしみたり痛みを感じたりするようになります。 編集部: 治療後に歯がしみる場合、何か対処法などはあるのでしょうか? 辻先生: 治療後に歯がしみる場合、まずは露出した根っこの部分に適切に歯ブラシを当てることで、症状は徐々に落ち着いていきます。ただ、どの方法が適切かは歯医者さんでしか判断できないので、必ず歯医者さんで適切なブラッシング指導を受けて実践するようにしてください。 そのほかに、しみ止めの薬を塗布して症状を和らげる方法があります。また、露出してしまった根っこの表面を外科的に歯ぐきに被覆する治療もできる場合があります。