最後のイチロー杯「自分で自分を鍛えて」野球少年にメッセージ
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米大リーグのマリナーズなどで活躍し、今年3月に現役を引退したイチロー氏(46)が22日、故郷の愛知県豊山町で「第24回イチロー杯争奪学童軟式野球大会」の閉会式に出席。ユニフォーム姿の野球少年たちを前に「これからは自分で自分を教育する時代」「今までの当たり前が変わる経験をして」などと熱いメッセージを送った。 【ノーカット動画】最後のイチロー杯「自分で自分を鍛えて」野球少年にメッセージ
閉会式であいさつ「みんなとまた別の場所で会えるかも」
大会はイチロー氏がプロ野球のオリックス在籍中の1996年に始まり、現役引退を機に今年で最後になると主催者のNPO法人「ジュニア・ベースボール・サポート(JBS)豊山」が発表。会場の豊山町社会教育センターには、参加チームの親子をはじめ大勢の町民らが集まり、イチロー氏の「ラストメッセージ」に耳を傾けた。 「大会長」としてのあいさつでイチロー氏は、子どもたちに伝えたいことが「2点あります」と切り出した。 現在、学生野球の指導者となることを念頭に手続きをしているイチロー氏。指導者として「ひょっとしたら、みんなとまた別の場所、違う場所で会うことができるかもしれないね」と呼び掛けた上で、「今は先生が厳しく教えることが難しくなっている時代。僕もどうやって教育をするんだろうと心配している。みんなが謙虚な気持ちで、先生を尊敬して、先生の言うことをよく聞くことは大切。でも、最終的には自分で自分を教育しなければならない。自分自身で自分を鍛えてほしい」と訴えた。 また、自身が大リーグ挑戦のためアメリカに渡った経験を振り返り、「調べれば知識として分かることはあるんだけれど、外に出て初めて分かること、行ってみて初めて分かることがたくさんあった。傷つくことだってあるし、楽しいことももちろんあった、勉強することもいっぱいあった。それを知識として持っているんではなく、体験して、感じてほしい。外に出れば、自分が育った日本って素晴らしいとすごく感じると思う。そういう経験を将来、できればみんなにしてほしい。今まで当たり前だったことが、決して当たり前ではないという、価値観が変わるような体験をして」と力説した。 その後は優勝した山之手少年野球クラブ(愛知県豊田市)のメンバーをはじめ、3位チームまでの選手一人ひとりの首にメダルを掛け、握手を交わしたり、記念写真に収まったりした。約90チームで始まった大会は年々参加チームが増え、今年は愛知、岐阜、三重、滋賀から180チームが参加。イチロー氏は毎年、閉会式の表彰に駆け付けていた。 (関口威人/nameken)