フィギュア団体で鍵山と樋口が衝撃の五輪デビューを飾れた理由とは…見えてきた初のメダル可能性
代表の有力候補とされていた平昌五輪では、出場切符が2枚しかなく、議論の末、坂本花織(21、シスメックス)が選ばれて悔しい思いをした。平昌五輪後に世界選手権に選出された際に「倍返しの始まり」と、当時話題を集めたテレビ番組の主人公のセリフに重ねて“熱い”ツイートをした。4年越しで立った夢舞台で、その思いをぶつけ、「本番に結果を出せる」強さを見せた。 元全日本2位で、昨春から千葉の「三井不動産アイスパーク船橋」に設立されたMFフィギュアスケートアカデミーのヘッドコーチに就任した中庭健介氏は、「団体戦でメダルを獲得するために確実に2位以上を取りにいった。本人もコメントしていましたが、3回転アクセルには不安もあったのでしょう。決して消極的な判断ではなく、自らの状況と団体戦の役割を考えての正しい判断だったと思います」と、2回転アクセルにした選択を支持。 「五輪は初ですが、世界選手権で銀メダルを獲得し、GPシリーズなどの大舞台は経験しています。緊張はあったと思いますが、常に高いレベルでやっているだけに、入りを2回転アクセルにしたことで全体の演技に余裕が生まれ、本来、持っている強い気持ちと集中力が高まったのでしょう」と評価した。 また「日本チームの雰囲気がよく、サポートをしてくれているという一体感が心強く、初出場を感じさせないリラックスにつながったのでは」とも分析した。 15日に女子シングルSPを控える樋口は、そこでは3回転アクセルに挑むことを宣言した。 樋口の会心の演技で上位5チームに絞られる決勝への進出を決めた日本が、最初の決勝種目の男子FSに送り出した18歳の鍵山も五輪デビュー戦とは思えぬ演技で世界を驚かせた。 荘厳な「グラディエーター」の曲でスタートを切った鍵山は、冒頭の4回転サルコーを成功させると、五輪用の新プログラムとして、公式戦初投入となる4回転ループに挑んだ。着氷でオーバーターンしてバランスを崩したが、ジャッジには回転数を認められた。そして、すぐに立て直して乱れない。 4回転フリップを綺麗に決め、3回転アクセル+3回転トゥループの連続ジャンプにつなぐと、初めてプログラムの後半に入れる4回転トゥループ+シングルオイラー+3回転サルコーの3連続ジャンプもノーミスで終えた。得点が1.1倍となる、この3連続ジャンプだけで基礎点15.73、GOE3.26で18.99点を加えた。 リズムに乗った鍵山は、3回転フリップ+3回転ループ、3回転アクセルと、4つの4回転ジャンプを含めたジャンプのエレメンツをすべてクリア。片膝をつき両手を広げたフィニッシュに最高の笑顔を弾けた。リンクに乗り出すようにして見守ったリレハンメル五輪代表でもある“オリンピアンの父“正和コーチも右手でガッツポーズを作った。