選抜高校野球 異例の1カ月前抽選、監督たちが語る「メリット」
第93回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催、朝日新聞社後援、阪神甲子園球場特別協力)の組み合わせ抽選会が23日、オンラインで開かれ、1回戦16試合のカードが決まった。抽選会は例年、開幕約1週間前に行われているが、今回は新型コロナウイルスの影響で、出場校のスケジュールを立てやすくするため、当初の3月12日から大きく前倒しした。初戦の日時と対戦相手が約1カ月前に決まる異例の大会となるが、どんなメリットがあるのか。出場校の受け止め方とは。 【センバツ出場校決定】運命決めた選考の様子
「1カ月の猶予」を有効活用
初出場の専大松戸(千葉)と対戦する中京大中京(愛知)。練習試合も含めて対戦がないという高橋源一郎監督は、三つのメリットを挙げる。「対戦相手が決まることで選手のモチベーションは上がる。大会日程を見据えて練習が進められ、対戦相手の分析にも時間をかけられる。デメリットはない」と好意的だ。今大会注目の好投手の畔柳(くろやなぎ)亨丞(2年)は「相手の打者を研究し、勝てる投球をしたい」と、「1カ月の猶予」を有効活用したい考えだ。 ベンチ入り18人のメンバー選考にも影響がありそうだ。これまでは対戦相手が決まった後の選手の入れ替えは、ケガなどを証明する医師の診断書がなければできなかったが、日程に余裕がある今大会では入れ替えが可能だ。第6日に1回戦を戦う中京大中京は準決勝に進出した場合、4試合を6日間でこなす過密日程となる。1人の投手が公式戦で1週間に投げられる球数を500球以内とする球数制限の影響を最も受けやすいが、高橋監督は「畔柳が中心だが、他の投手も準備している。メンバーの最終確定はしていない」と、入れ替えに含みを持たせる。 これまでは同一地区の出場校は準々決勝まで対戦を避けるよう抽選を行っていたが、感染防止のため抽選がオンラインとなったため、今回はフリー抽選に変更した。その結果、昨秋の近畿大会の決勝と同じ智弁学園(奈良)と大阪桐蔭の対戦が実現。お互いに手の内を知り尽くしているだけに、智弁学園の小坂将商監督は「開幕1週間前に大阪桐蔭と当たることを知るよりも、1カ月前に知る方が心のゆとりにつながる」と話す。昨秋の決勝は7―3で勝利したが、「お互いに秋とは別のチーム。いろんな策を練って初戦に臨みたい」と、秋とは違う戦い方も視野に入れる。