“期待”の女性管理職が次々辞めてしまう「なぜ?」 真の女性活躍のために必要な「3つ」の取り組みを考える
金銭的余裕があるのでシッター等を雇い、何とかしのいでいるが、この生活を何年も続けることはできないという。 3つ目の問題は「昇進の天井と成長機会の欠如」だ。多くの企業では、女性管理職として一定のポジションまでは昇進できるものの、それ以上の役職に進むことができない「ガラスの天井」が存在する。 ある金融機関の元女性管理職は次のように語る。 「課長までは順調に昇進しましたが、それ以上はまったく道が開けませんでした。男性の同期は次々と部長、本部長になっていく中、自分だけが取り残される感覚がありました。将来に希望が持てず、退職を決意しました」
退職後、その女性はベンチャー企業へ転籍し、副社長に就任した。 また、男性上司との関係性や偏見によって、さらなる成長機会を与えられないケースも多い。 20年近く私は「マネジャー研修」を行ってきたが、女性の参加者が増えたという実感は皆無だ。中小企業のみならず、大企業でも同じ。私見にすぎないかもしれないが、管理職のみならず、将来の管理職候補への研修でも女性の参加者数は増えていない。平等に教育の機会が与えられているのか、疑わしいのだ。
当然、このような成長の機会が与えられなければモチベーション低下につながる。企業の多くは多様性を促進すると言いながら、実際には男性主導の意思決定プロセスを維持している。そのため、女性管理職は限界を感じ、離職を決断せざるをえなくなるのだ。 ■真の女性活躍のために必要な3つの取り組み これらの問題を解決し、女性管理職の退職ラッシュを止めるためには、次のような3つの取り組みが必要だ。 (1)メンター制度の導入
経験豊富な上司や先輩が女性管理職のメンターとなり、定期的に相談や助言を行う仕組みを作る。もし社内にそのようなメンターがいなければ外部から定期的に招聘しよう。こうすることで女性管理職たちの孤立感を減らすことができる。 (2)柔軟な働き方の実現 「管理職になった以上、男性と同じように働いてもらう」などとすべきではない。個人ごとに事情が異なるのだ。在宅勤務や時間給、フレックスタイム制度を積極的に導入し、仕事と家庭の両立をしやすい環境を整えるべきだ。