“期待”の女性管理職が次々辞めてしまう「なぜ?」 真の女性活躍のために必要な「3つ」の取り組みを考える
しかもサポートは皆無。 男性の管理職たちは経営陣によく飲みに連れていかれたが、そういう場への声はほとんどかからない。「相談に乗ってほしい」と専務に持ち掛けても、 「俺に聞いてもわかんないから」 と逃げられる。 ある大手メーカーの総務部長は次のように語る。 「うちの会社では女性管理職の比率を上げることに注力しました。しかし昇進した女性4人のうち1人が退職。2人が降格を申し出てきました。理由を聞くと、『周りからの期待が重荷になった』『相談できる相手がいなかった』と言うのですが……」
男性中心の職場文化では、女性が孤立しやすい。男性管理職に質問しても、 「私たちもどう助言したらいいかわからない」 と言うばかり。 「昔は男勝りの女性が管理職になっていた印象がありますが、今は気丈な性格でなくても女性管理職になれる時代ですから……」 総務の責任者でさえ手探りなのだ。 表面的には成功しているように見えても、精神的に追い詰められ、退職を選ばざるをえない女性管理職も少なくない。その背景には、相談する機会やフォローを得にくい、という現状がある。
■ワークライフバランスの破綻と“ガラスの天井” 次に問題となるのが「ワークライフバランスの破綻」だ。女性管理職は仕事と家庭の両立を求められることが多い。 42歳で課長職に就いたIT企業の女性は、出産が遅かったせいもあり、6歳と3歳の子どもを2人を抱える。育児もしっかりやりたいが、夫は1年の半分を海外で過ごしているため、家事や育児の分担ができない。夫の仕事は応援したいので、負担をかけたくない、という思いもある。
「退職して、実家のある宮崎に帰りたいと思うこともあります」 そう考えると、「退職」は現実的な選択肢だという。 「当社は女性社員が多く、女性の部下からは私をロールモデルにしたいとよく言われます。私も仕事が好きだし、会社に貢献したいのですが、このまま管理職を続けられる自信がありません」 と嘆く。 「朝7時に家を出て、夜10時に帰宅する毎日です。週末も常にパソコンに向かっている状態で、家庭が破綻してしまう」