“銀パソ”ブームの火付け役。PCブランド「VAIO」26年の歴史を振り返る
【PRODUCT HISTORY #003】 日本のPCメーカーと言ったときに、真っ先に「VAIO(バイオ)」を思い浮かべる方も、少なくないのではないでしょうか。 【貴重な歴代VAIOの写真の数々を見る】 VAIOは元々、1996年にソニーのグローバルPCブランドとして誕生し、2014年にVAIO株式会社として独立したのちもブランドを維持。 今回は、そんなVAIOシリーズの歴史を詳しく振り返るべく、VAIO株式会社に取材。開発本部にてシリーズを統括する黒崎氏と巢山氏に、シリーズの歴史について伺いました。歴代製品のなかから特徴的な機種をピックアップしつつ、同ブランドの変遷を追っていきましょう。
【1997年】銀パソブームを生んだ国内向けPC「VAIO NOTE 505」
市場にノートPCが登場しだしたのは、1980年代半ばのこと。それを思えば、1990年代後半に発売されたVAIOは比較的後発のブランド。当時のソニーとしては、PC市場に数年ぶりの再参入するための勝負所でした。 まず1996年に「PCV-90」という機種がアメリカで先行発売され、翌1997年には日本市場向けにノートPC「VAIO NOTE(PCG-707/PCG-505)」を発売。少し遅れてタワー型デスクトップPC「バイオ ミニタワー(PCV-T700MR)」も発売されました。 なかでも、この時に登場したB5サイズの「VAIO NOTE(PCG-505)」は大ヒットに。ノートPCのボディ全体にマグネシウム合金を世界で初めて採用した機種でもあり、日本における後の「銀パソ」ブームを生むきっかけとなりました。 そもそも「VAIO」というブランド名は、「Video Audio Integrated Operation」の頭文字を取って命名されたもの。当時としては珍しい、“個人のクリエイティブな用途”を狙った機材というコンセプトも特徴的でした。 「ブランド立ち上げの当時は、私たちもまだ若く、企画の部分に深く絡んでいたわけではないので正確にはわかりませんが、当時の時代背景としては、ちょうどOSがWindows 3.xから95になるというタイミングでした。これを踏まえて、個人がPCを使って動画編集をしたり、オーディオを楽しんだりするような需要を、方向性として見込んでいたのだと思います。実際、当時のPCは、WordやPowerPointなどのOfficeソフトをプリインストールして販売されることが主流でしたが、VAIOは発売してからしばらくの間、Officeを搭載しておらず、エンターテインメント関連機能を充実させていました」(巢山氏) なお、初期のVAIOシリーズでは、淡い紫色のカラーが象徴的です。例えば「バイオ ミニタワー(PCV-T700MR)」を見てみると、本体もモニターも同系色で整えられているのがわかります。こうしたデザイン面の要素は、シリーズのアイデンティティとして、いまなお受け継がれているとのこと。 「ソニー時代から、やはり製品のデザインには、ずっとこだわってきています。例えば、『VAIO』のロゴって、実は当初からずっと変わっていないんですよ。このロゴは、PlayStation®のデザインなども手がけたスターデザイナー後藤禎祐(ごとうていゆう)さんがデザインしたものなんです」(黒崎氏)