“銀パソ”ブームの火付け役。PCブランド「VAIO」26年の歴史を振り返る
【1998年】CCDカメラが付いた「VAIO C1」
翌年の1998年に発売されたミニノート「VAIO C1(PCG-C1)」も、VAIOの歴史を語るうえで外せない一台でしょう。同機は、(1)コンパクトな筐体、と(2)内蔵したCCDカメラの2点でユニークでした。 「キーボードのサイズは、人間の手のサイズに左右されるわけですので、自動的に使いやすい限界というのは決まります。“じゃあキーボードが入るギリギリのサイズで、PCを創ってみようよ”というのが、設計思想としてありました」(黒崎氏) 「前年に発売された『VAIO NOTE 505(PCG-505)』でも、マグネシウム合金を取り入れていたように、先駆的に素材にこだわってきたこともVAIOの伝統だと思います。マグネシウム合金というのは、今でこそ多くの機種で採用されていますが、当時はPC筐体のような複雑な形状に成型できる素材ではありませんでしたからね。デザインに関しては、このマグネシウム合金の筐体を、さらに2色で仕上げるというのが、『VAIO C1』でのチャレンジでした。これがスプレーで塗るとか簡単な工程ではなくて、焼き付けが必要で難しかったのです」(巢山氏) また、「VAIO C1」では、「MOTION EYE(モーション・アイ)」というCCDカメラが搭載されたことが大きなトピックでした。CCDカメラとは、イメージセンサーに「Charge Coupled Device(電荷結合素子)」を使ったカメラのことです。 時代背景を考えてみると、カメラを搭載した携帯電話(PHS)が登場したのが1年後の1999年だったので、ノートPCに搭載される方が早かったわけです。 「今でこそノートPCにWebカメラが付いているのは当たり前ですが、当時はカメラがついているPCはほとんどありませんでした」(黒崎氏) 「この2~3年前に、やっと一般向けに“デジタルカメラ”が登場してきたくらいのタイミングでしたが、CCDの実績のあるソニーのハンディカム部隊の協力も得ることができました」(巢山氏)