ビットコインが6万ドルを割り、さらなる反落のリスク──FTX破綻後で最悪の月
香港の現物ETF(上場投資信託)の発売が不調だったように見えたことと、金利への懸念でビットコイン(BTC)が6万ドル(930万円、1ドル155円換算)を下回ったことは、4月30日火曜日にトレーダーに十分な売りの理由を与えた。暗号資産(仮想通貨)の調整を弱気相場と呼ぶ時が来たのかもしれない。 ビットコインは午後に5万9100ドルの安値をつけた。2月下旬以来の最安値となり、過去24時間で5%以上下落している。同じ期間のCoinDesk 20 Index(CD20)はさらに激しく、6%下落した。イーサリアム(ETH)とソラナ(SOL)の下落幅は7~8%。 ビットコインは、3月中旬に7万3000ドルを超える史上最高値を記録した時点から約20%下落している。
米にスタグフレーションの懸念
30日午前に発表された複数件の米経済指標がスタグフレーションを想起させ、成長の鈍化と価格圧力の加速を示したため、伝統的な市場も苦戦した。ナスダックはこの日2%、S&P500は1.6%下落した。 LMAX Groupの市場ストラテジスト、ジョエル・クルーガー(Joel Kruger)氏は30日のレポートで、アメリカの経済データがより強く、インフレが高まっていることを示した最近の経済指標により、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ期待が大幅に弱まり、それがデジタル資産市場の重しになっていると指摘した。 クルーガー氏は、「投資家がさらなる緩和を求めているにもかかわらず、FRBがより長期の政策見通しにおいてより高い金利を維持する方針に傾く必要があるという証拠が引き続き見られる」とし、「米ドルが全般的に人気を取り戻しており、この傾向が暗号資産にも波及しているのが見られる」と述べた。
FTX破綻以来で最悪の月
30日の下落により、ビットコインと暗号資産市場全体は、暗号資産取引所FTXが破綻した2022年11月以来で最悪の月間下落率を記録しようとしている。7カ月連続の上昇が止まる形になる。 協定世界時(UTC)で月末まであと数時間となった時点で、4月の下落幅はビットコインで16%以上、イーサリアムで18%以上となっている。より規模の小さい暗号資産はさらに深刻な調整に見舞われ、アルトコインの筆頭であるソラナ、ドージコイン(DOGE)、アバランチ(AVAX)は今月35%~40%下落した。 暗号資産市場全体の時価総額は18%近く下落し、2022年6月以来最大の下落を記録したことがトレーディングビュー(TradingView)のデータで示されている。