決して遠い未来の話ではない「ヒューマノイド」が労働力になる日
8月、ドイツの車メーカー「BMW」が、ヒューマノイド「Figure 02」を使って、自動車製造現場での実証実験を成功させたと発表した。公開された動画には人間のシルエットをしたロボットが製造ラインで滑らかに指を動かし、器用に金属部品をはめている姿が映っていた。このロボットは複雑な部品をミリ単位の精度で、自律的に配置することができるという。 世界的にヒト型ロボット、いわゆるヒューマノイドロボットの開発が加速している。アメリカの有名企業も投資を行っており、今後市場がさらに拡大すると見込まれているのだ。その中で、ヒューマノイドロボットが労働者の代わりになることが期待されている。 日本では人手不足による倒産が過去最多を記録した。ヒューマノイドロボットが社会、経済の救世主となるのかもしれない。
会話や画像から作業を読み取り、ミスをしたら自動で修正も
ヒューマノイドロボットを自動車生産現場で導入することを目指す、ドイツの自動車メーカー「BMW」。タッグを組んだのは、カリフォルニアに拠点を置く「Figure社」だ。 この会社の最新ロボット「Figure02」が実験に参加した。Figure 02は、前モデル「Figure 01」のアップグレード版で、身長約170センチ、重さ70キロ。最大約20キロの重さのものを運ぶことができ、最長5時間稼働する。さらにFigure 02は片手あたり16パターンの動作を行えるようになっているため、器用な作業もお手のものだ。 また、人工知能チャットボット「ChatGPT」を開発・提供している「OpenAI」と提携し、高性能なスピーカーとマイクを備え、人間と会話をしながら作業ができる。会話だけでなく、画像やテキストを自分で読み込み、作業内容などを理解することができる。作業過程でミスをした場合には、自分で学習し、最初に学習した行動を修正する。再び同じミスは繰り返さないヒューマノイドロボットとなっている。 Figure 02が参加したBMWの実証実験は、カリフォルニア州スパルタンバーグのBMWグループ工場で数週間に渡って実際の生産現場で実施された。試験の内容は特定の固定具に部品を入れて金属部品を組み立てられるかどうか。指先の器用さが高く求められる試験だったが、Figure 02は見事成功。 これまでも製造現場にはロボットが導入されてきたが、特定の業務のみに特化していた。しかしFigure 02 では搭載されたAIによって作業を日々学習し、自動で修正する。複雑なタスクを人間と同じように自律的に実行できるようになるのが大きなポイントだ。