消えた1月の「マイナス金利解除」予想 円安は金融引き締め要素にはならず?
3月に“予告”し4月にマイナス金利解除?
もっとも、春闘の賃上げ率(ベア相当部分)が2年連続して2%近傍で着地すると見込まれる中で、マイナス金利という極端な金融緩和策は早晩解除される見込みです。筆者としては、春闘の結果がある程度見通せるようになる3月にマイナス金利解除を見据えた金利に関する制度(≒階層構造方式の見直し)の変更に言及し、事実上の予告をした後、4月にマイナス金利の解除が決定されると予想しています。 もし日銀が筆者と同じ想定を持っているのであれば、1月の会合でその「予告の予告」を出す可能性があります。それがフォワードガイダンスの見直しという形を取るかどうかは、正直なところ具体的には想像がつきませんが、何らかの情報発信に備える必要があるでしょう。仮にそうなれば、金融市場では金利が上昇したり、円高が進んだりする可能性があります。株価はどちらかというと下落方向の圧力がかかりそうです。 なお、足もとでは再び円安が加速しており、これが日銀の金融政策にどういった影響を与えるのか注目されています。それについて筆者は、日銀が為替を意識した金融政策から距離を置いていると考えています。この程度の円安であれば日銀が金融引き締めに転じるとは考えにくいです。 とはいえ、もし3月までに円安が加速し、米ドル/円(USD/JPY)が155円など2022年以降のピークを更新するような事態になれば、それは日銀にマイナス金利解除を促す要因になるでしょう。 ---------------------- ※本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足ると判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。