関東大震災から100年…命を守るための“2つの教訓”
では、火災の規模はどれくらいだったのか。こちらは当時の東京市の地図なのですが、赤で示されているのが焼失したエリアです。
これを現在の地図に重ねると、東京スカイツリーから東京タワーの間がほぼ焼けてしまったことがわかります。 さらに現在の墨田区に被服廠跡(ひふくしょうあと)と呼ばれる軍服などをつくる工場の跡地があったのですが、この場所では“ある恐ろしい現象”が起きていました。
■関東大震災の教訓① 「火災旋風に注意」
それが、今日知ってほしい「関東大震災の教訓」1つめ。地震のあとの「火災旋風に注意」です。 被服廠跡で発生した、火災旋風を描いた絵があります。 大きな渦に、いろいろな物が巻き上げられています。火災旋風とは炎や煙が竜巻のようになって、物や人を吹き飛ばす現象なのです。 広い空き地だった被服廠跡には激しい揺れで家を失ったり、火事から逃げてきたりした人など、およそ4万人の市民が家財道具を持って避難していました。そこを火災旋風が襲い、4万人のうち3万8000人が亡くなりました。 どのような状況だったのか。生存者の1人で当時19歳だった、山岡清眞さんがつづった手記があります。
『眞黒な怪物が大きなマントを拡げて子供をつゝむやうに(中略)眞黒な雲か煙か押寄せて来て』 『ハッと思つた瞬間身体が宙に浮き上りました』 『家財道具に火がついてとび交う様はこれが地獄の何丁目かと思った』 想像を絶する状況だったことが伝わってきます。 これだけ甚大な被害を出した火災旋風ですが、その発生条件についてはまだ解明されていない部分が多いのです。 では、どう対策すればいいのか。 火災旋風を研究する消防庁消防研究センターの篠原雅彦主幹研究官によると、大規模な火災が起きればそれだけ大きな火災旋風が発生する確率も高くなるので、まずは1人1人が火災を起こさない、火災を大きくしない努力をすることが重要だということです。 例えば… ●避難の際は停電から復旧した際に起こる「通電火災」に備えてブレーカーを落とす ●家に消火器を準備しておき、もし火が出てしまったら初期消火をする。ただ、難しいと判断したらすぐに避難して身を守る …などが重要だということです。