なぜ?レトロな水族館に客殺到~アイデア満載の節約術
ここまでやる?飼育員の奮闘~「客を楽しませたい」
ここから小林は、お金がなくてもできる、客が喜ぶ展示を推し進めていく。並行して始めたのが飼育員の意識改革だ。 海水魚担当の飼育員・平松涼太郎がノートに書いていたのは購入した魚とその金額。小林は飼育員に1年分の予算と水槽を自由に作れる裁量を与えたのだ。 「自分で選んだからには責任を取らないといけない。重く受け止めながら生き物を選んでプロデュースしています」(平松) その平松がウェットスーツを着込んで海へ。 自分の理想の水槽を作ろうと魚の調達まで行っているのだ。ターゲットは浅瀬にいる小さな魚。「ハタンポ」という魚が獲れた。岩陰などで群れを作って生活する小魚だ。 「問屋さんにお願いしてもすぐに入ってくる魚ではない。簡単に手に入らない生き物は自分たちで採取しています」(平松) 別の日、平松は新しい水槽作りに動き出した。主役は鮮やかなコバルトブルーの体を持つ「ルリスズメダイ」。沖縄に旅行し、珊瑚の海で見た光景に心を打たれたと言う。同じ水槽を受け持つ桃井駿介とともに作業。珊瑚の海に映えるコバルトブルーの魚という沖縄の光景が見事に再現された。 「どうすればお客さんが楽しんでくれるか。難しいところですが、うまくいった時はうれしいです」(平松)
借金6億円の大勝負~リニューアルの目玉は?
竹島水族館では今、大掛かりな工事が始まっている。リニューアルに向けて動き出したのだ。 「今の水族館は混雑しすぎていて、お客さんがゆったり見られない。特に市内の人たちが『混んでいるから嫌だ』と、来てくれなくなってしまっているので、ゆったり見られるように敷地面積を広くする増築をしています」(小林) 銀行から6億5000万円を借金し、2倍の広さにして10月にリニューアルオープンしようとしている。目玉は7メートルの巨大水槽だ。 「『タカアシガニ』がたくさん入って見ごたえのある水槽を作る予定」だという。 「大勝負ですね。お客さんが喜んでたくさん来てもらえたら、それで万々歳なので」(小林) ※価格は放送時の金額です。 ~村上龍の編集後記~ 「水族館は生きものを見てもらう施設なのに誰も見てくれない。すごく可哀想」館長になる前の小林さんの言葉だ。「水槽を眺めているほうが好き」という小学生だった。学生時代には「イルカの飼育係になりたい」当時は水族館の求人は圧倒的に少なかった。狭き門を突破して竹島に。「こんなところはいやだ」セイウチもラッコもいない。「生きものに触れる水槽が欲しい」という客の声。3億円必要だったが、予算は2500万円、成立したのは、タカアシガニのさわれるプール。自分たちの資源を活かすという戦略が、ごく自然に決まった。 <出演者略歴> 小林龍二(こばやし・りゅうじ)1981年、愛知県生まれ。2003年、竹島水族館に就職。2015年、館長に就任。 ※「カンブリア宮殿」より
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