なぜ?レトロな水族館に客殺到~アイデア満載の節約術
小さな港町にナゼ行列!?廃館危機から大逆転!弱小水族館のサバイバル術
愛知・蒲郡市。三河湾を臨む人口8万人ほどの小さな港町に意外な人気施設がある。どこか昭和レトロなたたずまいの竹島水族館(入館料大人900円、子ども500円)。取材カメラが入ったのはオープンから5時間後だが、入り口から長い行列が続く盛況ぶり。館内は大勢の客でごった返している。 【動画】なぜ?レトロな水族館に客殺到
展示しているのは、2億年前から同じ姿をしており「生きた化石」とも呼ばれている「カブトガニ」、甲冑(かっちゅう)の具足に似た「グソクムシ」……竹島水族館の売りは深海魚をはじめ、見た目はキモチ悪い生物たち。小さな水族館だが、深海生物に限れば全国トップクラスの140種類を展示している。
一番人気の水槽がタッチOKの「さわりんぷーる」。足を広げれば3メートルを超える世界最大の甲殻類「タカアシガニ」や「オオグソクムシ」などに直接触ることができる。 館長の小林龍二(43)が飼育員になった20年前、竹島水族館は廃館の危機にあった。イルカやペンギンといった人気者を購入する財源はなく、入館者数の採算ライン、年間20万人を下回る赤字の年がずっと続いていた。しかし、さまざまな改革を行った結果、入館者数は急増し50万人近くに到達。今や地方水族館では優等生とも言える黒字経営となっている。
〇どん底からの復活作戦1~金がないなら頭を使え 竹島水族館の外で飼育員・酒向穂がクズの葉を採っていた。「無料で手に入る食材として採っています」と言う。「ケヅメリクガメ」の餌になり、1カ月1万円の餌代が浮くという。 岩場に波が寄せた時の泡を再現している水槽のバックヤードには、100円ショップのバケツを二つくっつけた手作り感満載の装置が。「『ししおどし』の原理で、水が溜まると倒れていく」のだ。別の水槽の中で動くサーチライトの光は、扇風機の首振り機能だけ利用していた。 「100円ショップやホームセンターで材料を見つけて作ります」(小林) 水槽の横にある説明看板も手書きだ。例えば「フグ」のタイトルは「なぜアナタは1人なの?」。「イタズラ・悪さがひどくて単独水槽で暮らすことになりました」と答えが書いてある。「温かみがあるイラストが好き」「読んで楽しい」と、魚ではなく看板の写真を撮る客もいるほどだ。 午前3時、小林が向かったのは水族館から車で15分の形原漁港だ。三河湾に面した蒲郡市は深海魚の漁が盛ん。あまり見かけない300種類もの魚が水揚げされている。 小林のお目当ては展示用の深海生物。この日は「タカアシガニ」を1匹3000円で2匹購入したが、これは本来の取引価格の半分以下だと言う。地元の漁師たちの元に通い、水族館に展示する深海の生物を安く譲ってもらっているのだ。 協力している「順風丸」の船長・加藤辰也さんは「やはり自分が獲った魚が展示されているのを見てお客さんが喜ぶのはうれしい」と言う。