ロールス・ロイス「ゴースト」セダン継続の真意
実際、ゴーストのオーナーの9割以上が自分で運転するのだという。今回もエクステンデッドホイールベース仕様が用意されたが、後席空間が拡がったこのモデルでも、やはり、オーナーは自分で運転するケースがほとんどだと、本社の広報担当者に説明された。 内装ではOS(オペレーティングシステム)を刷新。スペクターとSUVの「カリナン」と共通のもので「スピリット」と名付けられている。音声認識システムなどの性能が向上。ただし、車内のアンビエントライトが64色用意されるなど、そういう機能はあえて盛り込まれていない。
車内のエンターテインメントとしては、ほかの車種と同様「スターライト・ヘッドライナー」が用意される。天井に星座を思わせるLEDの“星”がちりばめられていて、じっと見ていると、ときおり流れ星があるという凝り方。運転席からの操作でも、この流れ星は出せるようだ。どっちかというと地味な娯楽であるところが、ロールス・ロイスらしい。 ダッシュボードには、アナログ式時計と、その下にラジエターマスコットであるスピリット・オブ・エクスタシーの像が収まった「クロックギャラリー」が、カリナンに次いで採用された。機能とはまったく関係なく、オーナーには嬉しい装備かどうかも、私には不明ではあるが……。
ゴースト・シリーズⅡを、こうして力を入れて開発している背景は、ロールス・ロイスとしてセダンをあきらめない姿勢が現れているのだろう。一応、その部分についても確認してみた。 「私たちのラインナップでもっとも売れているのはSUVのカリナンですが、サルーン(セダン)独自のエレガンスを求める顧客は一定数います。SUVの持つ機能性がすべてでなく、4人がすばらしい快適性でもって長距離ドライブに出かけられる。そこに(ゴーストのような)4ドアGTの真髄があると考えています」
「今のボリュームはそう多くないかもしれませんが、この先もセダンを作り続けていきます」とプロダクトマネージャーのマット・バット氏は言う。 ■12気筒ガソリンエンジンは存続 さらに、12気筒エンジンの未来を、ロールス・ロイスではどう考えているのかと尋ねた。 「可能なかぎり作り続けていくつもりです。電気と12気筒の2本立てで、ハイブリッドはありません」と、ずいぶんと潔い答えが返ってきた。 ゴースト・シリーズⅡには、先に触れたように、後席空間がより広い「ゴースト・シリーズⅡエクステンデッドホイールベース」(全長5715mmにホイールベース3465mm)と、よりスポーティな「ブラック・バッジ・ゴースト・シリーズⅡ」が同時に用意された。