ロールス・ロイス「ゴースト」セダン継続の真意
■ゴーストで変わったロールス・ロイスの走り かつてのモデルは、たしかにエフォートレスではあったものの、ステアリングホイールの操作に対して車体が動くときの反応が、ドライバーに直接伝わってこなかった。そのためカーブなどでは“だいたいこのへんかな”と思いながら操舵する。いわゆる“当て勘”で操縦するのだ。 とうぜんながら、私はその感覚がどうも苦手で、自分で操縦していると、すぐに飽きてしまっていた。今のゴーストにはじめて乗ったときは、ダイレクトな感覚で、これはいい、とすぐに思ったのを、よく覚えている。
南仏の一般道は、細くて屈曲していて、とくに村落に入ると、対向車とのすれ違いに神経を使う。ゴースト・シリーズⅡは全幅が2m近くあるのでスリルもひとしおだ。 ステアリングホイールを動かしたときの車体の反応が素直なので、道を端ぎりぎりまでさっと避けられる。カーブを高速で曲がるときから、ワイン畑のあいだのくねくね道でのすれ違いまで、不安の念に駆られることなく、さっと走り抜けられるのだ。 今回のシリーズⅡの最大の変更点は、外観と内装が中心だ。「シンプルなラインによるリデザインを心がけました」と、リードエクステリアデザイナーのサイモン・ヘインズ氏は、エグザンプロバンスの試乗会場で説明してくれた。
「私たちは、つねに顧客の声に耳を傾けています。ゴースト・シリーズⅠはおおむね好評だったので、シリーズⅡは大きく変えないでいこうという方針を打ち出しました。ただ、ヘッドランプの輪郭をはじめ、フロント部分はもっとシンプルにして“かたまり感”を出し、この先、このままのデザインで続けていけるよう意識しています」 ■自分で運転するクルマという印象を強めたゴーストの姿 すっきりした表情になったフロントマスクに加え、リアでもコンビネーションランプの形状を変更。BEV(バッテリー駆動EV)の「スペクター」と共通するテーマの意匠になった。ロードホイールは22インチと大径化。これによって“足”の存在感が増して、走るクルマという印象が強くなった。