手足口病が全国的に感染拡大中、今後さらに流行する見込み 注意したい症状や予防法とは?
子どもを中心に感染し、手足や口などに発疹ができる「手足口病」の患者数が急増しています。警報基準を超えた自治体も複数出ており、注意が必要な状況です。この内容について山田医師に伺いました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
手足口病とは?
編集部: 現在、感染が拡大している手足口病について教えてください。 山田先生: 手足口病は夏に流行する病気で、報告された患者の90%前後が5歳以下の乳幼児です。主にコクサッキーウイルスA6型・A16型、エンテロウイルス71型などのウイルスに感染することで発症し、感染経路は飛沫感染や接触感染、糞口感染です。 ウイルスに感染すると、3~5日後に口の中や手足、背中などに2~3mmの水疱性発疹が出ます。また、肘、膝、臀部などに発疹が出ることもあります。 さらに、コクサッキーウイルスA6型による手足口病では、発症してから数週間後に爪が剥がれる症例も報告されています。患者の約3分の1に発熱症状がみられますが、高熱が続くことは基本的にありません。 稀なケースですが、髄膜炎、小脳失調症、脳炎などの中枢神経系の合併症のほか、心筋炎、神経原性肺水腫、急性弛緩性麻痺などになることもあります。 現在のところ、手足口病には有効なワクチンや予防薬はありません。手洗いや排泄物を適切に処理するといった、一般的な感染予防をおこなうことが重要です。 また、治療薬についても、手足口病への特効薬はありません。基本的には、経過観察を含め、症状に応じた治療となります。 経過観察をおこなう中で、髄膜炎や脳炎が疑われる2日以上続く高熱、嘔吐や頭痛、視線が合わない、呼びかけに答えない、呼吸が速くて息苦しそう、水分がとれずにおしっこが出ない、ぐったりとしているなどの症状がみられた場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
手足口病の感染状況とは?
編集部: 手足口病の感染状況について教えてください。 山田先生: 手足口病の感染状況は、増加傾向にあります。2024年4月3日~9日の時点では、全国の1拠点あたりの患者数は0.21人でした。しかし、5月頃から急激に感染者が増え始め、6月3日~9日までの集計では1拠点あたり3.83人にまで増加しています。 これは前週と比べて0.94人増加しており、去年の同じ時期の約5.8倍です。手足口病の警報基準が1拠点あたり5人なので、全国平均で見ても警報基準に近づいています。 都道府県単位で見ると、すでに17府県で警報基準を超えており、東京でも都内31カ所の保健所中11か所で警報レベルを超えている状況です。 地方別に見ても、流行を免れているところはなく、全国39都道府県で流行は拡大中です。例年の流行パターンを参考にすれば、これから流行がさらに拡大していくでしょう。