退職まであと5年ありますが「退職金は2000万円」の見込みです。ずっと賃貸暮らしだったので自分のマンションが欲しいのですが、いくらまで使っていいでしょうか?
賃貸暮らしをしていて、自分のマンションを手に入れたいと考える人も多いでしょう。しかし、定年退職をして老後の生活費のことを考えたら、予算をどのくらいにするのが適切なのか、退職金を購入資金に充ててよいものか悩む人もいるのではないでしょうか。 ▼年金が「月10万円」で老後が不安…持ち家で「貯金」と「退職金」があれば大丈夫? 生活費を試算 とはいえ、退職金をマンションの購入資金としていくらまで使ってよいかは一概に言い切れないでしょう。定年退職後も就労収入があるか、貯金はどのくらいあるのか、将来的に受け取れる年金額は人それぞれ異なるからです。 そこで本記事では、定年退職後の60歳代の最低日常生活費や将来的に受け取れる年金額はどのくらいなのか、住宅ローンを組む場合の注意点などを解説します。
60歳代の最低日常生活費
公益財団法人生命保険文化センターの「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」によると、夫婦2人で老後生活を過ごす場合に必要な最低日常生活費は月額平均23万2000円とのことです。分布をみると以下のように「20~25万円未満」「30~40万円未満」の順に多くなっています。 ●15万円未満:4.9% ●15~20万円未満:9.2% ●20~25万円未満:27.5% ●25~30万円未満:14.4% ●30~40万円未満:18.8% ●40万円以上:2.8% 最低日常生活費として月額23万2000円を必要とする場合、60歳から65歳までの5年間にかかる費用総額は1392万円です。60歳以降も働いて収入を得る予定がなければ、これらの生活費を考慮したうえで退職金を残したり、マンションの購入資金を検討したりするようになるでしょう。 ■ゆとりのための上乗せ額は月14万7000円 同調査では、最低日常生活費以外にゆとりある老後生活費の平均月額は37万9000円である旨を伝えています。最低日常生活費である月額23万2000円に14万7000円を上乗せした金額です。 上乗せした14万7000円の使途は、旅行やレジャー、日常生活費の充実、趣味や教養といったものが挙げられます。日頃から旅行やレジャーに出掛けていたり、趣味を楽しんでいたりする場合は、老後の生活費として月額37万9000円程度を目安にしておくとよいかもしれません。 ■将来的に受け取れる年金額 会社員や公務員など、国民年金の第2号被保険者に該当する人は、将来的に老齢基礎年金と老齢厚生年金のそれぞれの受け取りが可能です。それに対し、自営業者やフリーランスの場合は、老齢厚生年金を受け取れず、国民年金のみの受給となります。 将来的に受け取れる年金額は、国民年金が月額6万8000円(満額の場合・令和6年度の金額)です。厚生年金は被保険者だった期間やどのくらいの収入を得ていたのかによって受給額が異なりますが、厚生労働省の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると平均年金月額は14万4982円です。 国民年金の受給額と厚生年金の平均月額を合算すると、21万2982円です。将来的に受け取れる年金額は個人差があるものの、平均だけみると年金だけでゆとりある生活をするのは難しい可能性が高いでしょう。