【2024年のEC業界予測】景況感は「厳しい」。押さえておきたい“警戒ポイント”と対策まとめ
ネット業界の予測を立てる仕事をスタートして、今年で17年目になる。経済予測から各業界の消費トレンド、Eコマースの動向などを中心に100ページに及ぶレポートを毎年制作している。今回、2024年のEコマース業界の展望についてまとめてみたので、次年度のネットショップの経営計画の参考にしてもらいたい。
2024年の景況感は暗雲
2024年のEコマースの景況感は「厳しい」の一言に尽きる。ネガティブな予測になった理由は「巣ごもり消費の反動」が大きく影響しているからである。2023年はコロナが収束し、旅行や外出などの「コト消費」が活況となった。一方、その反動で商品を買う「モノ消費」は反動で鈍化し、この流れが2024年も続くというのが私の見立てである。 ■ 「モノ消費」回復はもう少し先になりそう
経済産業省が発表した2022年のEコマース業界の国内物販の市場規模は14兆円、増減率は5.3%となったが、コロナ禍の2020年の増減率21.7%と比較すると、明らかに巣ごもり消費の反動で買い控えが起きていることがわかる。2019年の8.09%と比較しても増減率は低く、コロナ前の成長の勢いには戻っていないことが伺える。
今回、コロナによる巣ごもり消費が2~3年あったことを考えれば、旅行や外食などの「コト消費」の活況は、あと1~2年は続くことが予想される。その反動を受けてネットショップなどの「モノ消費」が回復するのには、もう少し時間がかかることから、2024年は「厳しい」という予測を立てた次第である。 ■ “衝動買い”がEC売上減に影響 Eコマースの市場の成長が鈍化したもうひとつの理由に、消費者が買い物にメリハリをつけはじめたことがあげられる。給与が思うように上がらず、物価だけが上昇し、「絶対に買う商品」と「買わなくてもいい商品」をふるいにかけたことで、衝動買いが起きにくくなったことが、ネットショップの売り上げを鈍らせた要因だと思われる。