大谷が潰れる? 日本ハムの海外キャンプが持つ危険
日本ハムは2月1日から、アリゾナ州ピオリアにあるパドレスのトレーニング施設でキャンプを行う。集中できる施設が充実しているという半面、懸念がないわけではない。 まず、プラス要素から。昨年4月、アリゾナでキャンプをすることが決定すると、竹田徳宗社長は「新たな環境の変化が刺激となってチームの強化につながり、選手個々の成長を促す」とホームページを通じてコメントした。確かに、環境の変化は刺激になるだろう。トレーニングジムを含めた施設の違いにも、学ぶことがあるのではないか。リハビリや早めにアリゾナ入りする大リーガーらもいるので、彼らとの交流もまた、プラスに働くはずだ。 武田社長はまた、こんな考えも述べている。 「打撃練習やピッチングなどを同時に行えるスペースが大幅に増え、従来以上に効率的な準備ができると考えています」 パドレスのトレーニング施設には、本球場(マリナーズと共有)に加え、フィールドが6面、バントや走塁、内野守備練習が出来るハーフグラウンドが2面ある。ブルペンは2カ所。これだけのスペースがあれば打撃とピッチング練習どころか、様々なグループに分かれてそれぞれ違ったメニューで練習ができる。効率という面では、理想的な環境だ。 ただ、日本の場合、狭い場所を効率よく使うという点では、大リーグより遥かに上である。以前、「ESPN」の取材陣を連れて札幌まで行ったが、試合前の練習を見て、感心していた。一部の選手が打撃練習をしているとき、他の選手は複数のグループに分かれ、フィールド内の至る所で別々の練習をしている。その光景を見て1人の記者が言った。 「アメリカなんて打撃練習中、投手が外野で固まってしゃべっているだけなのに。本来、これだけのことが出来るんだ…」 話が脱線したが、次にマイナス面について。アリゾナでキャンプを行うことには、不安もある。 確かに温暖で体を作りやすい。また、雨の心配がないため、練習スケジュールが遅れることもない。しかしその雨が降らないことが問題で、乾燥した空気は特に投手にとって厄介だ。2012年、マリナーズと契約した岩隈久志投手は、メジャー1年目のキャンプを順調に過ごしているように見えたが、実のところ違和感を覚えていた。これまで感じたことがない張りが右前腕部にあったのだ。 もちろん、大リーグのボールが滑りやすい、というのがある。しかも、乾燥しているだけにツルツルだ。とはいえ、投げているときは特に滑るとは感じていなかったという。後になって、こんな話をしていた。 「無意識のうちに、滑らないように、という力が入っていたのかも知れません」