阿武隈川を眺める「ハナレザル」群れから離れ市街地へ 福島市でサルの目撃情報相次ぐ 専門家は刺激しないよう注意呼びかけ
福島市内で相次いで目撃されているのが…サルだ。2024年10月末から11月18日までに寄せられた目撃件数は29件。市街地に現れたサルの行方を追った。 【画像】福島県庁近くに現れたハナレザル
阿武隈川を眺めるサル
10月8日、福島県福島市の県庁近くの建物敷地内。窓の先には1匹のサル。川を眺めていたが、撮影者に気が付くと走り去っていった。 サルが撮影されたのは、福島市中心部の御倉町。周辺では、これまでにサルが目撃されることはほとんどなかったという。 近隣住民は「怖いですよ。だからエサになるようなものは置いておけない。来たらびっくりするよね」と話す。
川を挟んだ隣の町でも
サルの目撃が相次いでいるのは、阿武隈川と荒川の川沿いにあるエリア。さらにサルの詳しい情報を求めて取材を進めると、さきほどの御倉町から荒川を渡った先にある南町の住宅でも目撃があった。 11月5日と6日に、サルが庭の木に実ったカキを食べていたという。 近くには小学校と中学校があり、サルによる子どもたちへの被害を住民は懸念していた。
群れから離れたハナレザル
なぜ住宅地にサルが出没しているのか?野生動物に詳しい福島大学の望月翔太准教授は「おそらく今回市街地の方に出てきているサルたちに関しては、群れが出てきているというよりは、オスグループもしくはハナレザルが出てきているという状況ではないか」と指摘する。 通常だと20頭から30頭ほどの群れで行動するが、秋ごろになると繁殖期を迎えた若いオスが群れを離れて、単独で行動をするようになるという。こうしたサルは「ハナレザル」と呼ばれている。 望月准教授は「山間部の群れから離れて市街地の方に出てきて、そこに食べられる餌があるから、そこで居ついてしまっている状況」と話す。また「サル自体が興奮してしまう可能性もあるので、撮影などはしないように」という。 さらに、福島大学の望月准教授が絶対にしてはいけないと呼びかけるのが、エサを与えること。 サルにエサを与えると自分に危害を加えず、エサをくれる存在と間違って学習する危険性があると指摘している。一度エサを与えてしまうと、次にエサをもらえなかった場合はヒトを襲う可能性があるという。そうなると被害が拡がる恐れがあり、絶対にしてはいけない。 大切なことはサルを目撃しても近寄らず、じっと見つめるなど刺激を与えないことだ。 出没期間は1ヵ月ほどとみられているハナレザル。これまでのところ、人への被害はないが福島市ではサルの目撃場所をホームページ上で公開して注意を呼びかけ、遭遇防止に役立て欲しいとしている。 (福島テレビ)
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