【大橋秀行】西田凌佑、相手が強ければ強いほど持ち味発揮 4人の王者で「伸びしろ」は一番
<ボクシング:IBF世界バンタム級タイトルマッチ12回戦>◇15日◇大阪市住吉スポーツセンター◇観衆3000人 王者西田凌佑(28=六島)が、アクシデントを乗り越えてKOで初防衛に成功した。 同級14位アヌチャイ・ドンスア(28=タイ)と対戦して4回に右フックでダウンを奪って、7回は左ボディーアッパーをグサリ。7回1分37秒、KO勝ち。アマチュア時代を通じて初のKO勝利を飾った。 ◇ ◇ ◇ 西田はデビュー戦以来のKO勝利を、世界戦で、しかもワンパンチで決めた。もともとパンチの打ち方、タイミングのいい選手。この結果は大きな自信になったはずだ。世界王者になって一気にKO勝ちが増えた長谷川穂積のように、これからKOを量産していく可能性がある。 開始直後は「倒さなければ」という意識が強く、不用意なパンチを浴びるシーンもあった。挑戦者はやりづらく、距離をとって戦う西田本来のボクシングが崩れるのではと心配したが、最後は相手のパンチを見切って、見事な左ボディーアッパーをたたき込んだ。 不利の予想を覆して世界王座を奪取したロドリゲス戦も、判定決着になったが4回に左ボディーブローでダウンを奪った。あれが自信になったのだろう。サウスポーの左ボディーアッパーのカウンターは見えづらく、相手にとって脅威。今後も大きな武器になる。 西田はサウスポーで技術があり、ディフェンスもいい。相手が強ければ強いほど持ち味を発揮できるタイプだ。中谷との統一戦が実現すれば面白い試合になる。今のバンタム級の4人の世界王者の中で「伸びしろ」が一番あると思う。(元WBA、WBC世界ミニマム級王者)