センバツ2023 報徳OB会・大工の藤野さん 「トンボ不足」俺に任せろ!! 改良重ね150本 /兵庫
野球のグラウンド整備に欠かせない道具「トンボ」。センバツに出場する報徳学園野球部OB会の藤野敏行さん(56)は10年以上前から、大工の仕事で出た端材を使って手作りのトンボを野球部に寄贈し、後輩たちを応援してきた。 野球部はかつて、入部時にトンボを作って持ち寄る慣習があった。しかし、保護者の負担を考えて廃止され、トンボが不足していることを永田裕治・前監督から聞いた。「だったら作りましょう」。藤野さんは倉庫にあった端材でトンボを作り、寄贈した。だが、数カ月後にグラウンドを訪れると、トンボがすでにボロボロになり、後輩たちも使いにくそうだった。「もっとちゃんとした物を作ろう」。職人としてのこだわりが出てきた。 「柄の長さはどれくらいがいい?」「どんな姿勢でかけるのが楽?」。後輩たちに感想を聞き取って、改良を重ねた。2022年の秋は県大会の優勝を祝って25本を作った。これまで寄贈したトンボは計150本以上になるという。「夏の甲子園にも出場できたら、30本贈りたい。ぼちぼち作り始めようかな」と笑顔を見せる。 ◇木製ベンチも また、約3年前には保護者らが練習試合を座って見られるように、バックネット裏に木製のベンチを野球部員と製作。他のOBも協力し、チームカラーの深緑色に塗装した。「お世話になった母校への感謝。OBはつながりが強く、選手のために皆が手伝ってくれる」と話す。 藤野さんは高校1年の時、控えの捕手としてセンバツに臨んだ。「後輩たちもセンバツの舞台に立ててうれしい。力のあるチームで活躍は確信している。最後まで悔いを残さないようにプレーしてほしい」とエールを送る。【大野航太郎】 〔阪神版〕