ノックを受ける阪神佐藤輝（撮影・上山淳一）

　阪神佐藤輝明内野手（25）が最後の“馬場道場”で鍛え抜く。秋季練習2日目の23日、三塁で懸命に白球を追い、一塁への送球を繰り返した。すぐ後ろでノックを見つめた馬場敏史2軍内野守備走塁チーフコーチ（59）は「きついだろうね。太もものあたりに負荷かかるし」とニヤリ。三遊間を大きく振られ、膝に手をつきながら食らいついた。 【写真】平凡な飛球をまさかの落球する佐藤輝明 　「彼は捕ってから余裕があれば回転のいいボールを投げられる。あとは（体勢が）崩れた時、（ボールが）前や横に落ちた時にどう投げるかが今度の課題」 　1軍コーチから来季2軍に配置転換される馬場コーチ。高知・安芸キャンプには参加しないため、これが佐藤輝との最後の特訓となる。その目には課題が明確に映っている。 　今季はリーグワーストの23失策。春季キャンプでは二人三脚で計515分の特守をやりきり、佐藤輝も「（プロ）4年間では一番（守備を）やった」と自信を持って挑んだシーズンだった。だが、5月には逆転負けにつながる痛恨の失策を犯し、2軍降格。本人も悔しさが残ったはずだ。 　「三遊間に振って、切り返してから一塁に投げるとかね。今年は特にそれが目立った。その辺を大事にしていかないとレベルが上がっていかない」 　期待をしているからこその辛口。新コーチ陣らとの秋季キャンプを前に、一足早く甲子園で猛特訓を行った。「あとは本人がどれだけやる気を出すか。逃げ道はないし、自分がもっとうまくなる、サードは絶対俺が守るという気持ちがないと」。猛虎の揺るがぬ主砲へ。背番号8は打撃も守備も磨きをかける。【村松万里子】