これが住宅?ピカソにウォーホル、シャガール、美術館級のアートが!非日常の空間が広がる豪邸が完成するまで
住宅設計の成否は、建築家が土地のポテンシャルをいかに引き出すかに左右されるといっても過言ではありません。 建築家の田中俊彰さんが手掛けた「下関の家」では大胆な設計に加え、住み手のディレクションとアート、造園計画といったチーム力が結集し、暮らしの場に非日常をもたらしました。 【写真でもっと見る】美術館級のアートがずらり!リノベで生まれ変わった豪邸
日々の生活に特別な時間をもたらすギャラリーのようなリビング
建築家の故・宮脇 檀さんは120軒ほどの住宅を手掛けていますが、自身の設計人生を振り返り「建築家は結局好きなものをつくるしかなく、それがよい結果を生んでいる」という内容の文を『モダンリビング』の連載や著書、建築専門誌に残しています。 経験豊富で自らを生活コンサルタントとも称していた宮脇さん。あれこれ口を出さずに信頼できるプロに任せたほうがよい家ができるということをいいたかったのでしょう。ここで紹介する「下関の家」もその好例。建築家の田中俊彰さんをはじめ、各ジャンルのプロのアイデアを住み手が受け入れ、さらに楽しむことで家づくりに成功しました。
季節や天候、時間帯によって変化する関門海峡や自然の表情を楽しむ
「子育てが一段落したのをきっかけに、手狭に感じていたキッチンのリノベーションの相談で田中さんにお声がけしました。 下見の後に提案されたのがリビングの増築。まったく予想していなかった案でしたが、戸惑いよりもやってみたい!という期待が強くなって、田中さんのプランに乗ることに決めました」とNさん夫妻は設計当初を振り返ります。
敷地は山口県下関市の傾斜地にあり、南側に関門海峡と街並みが一望できる好立地。既存の建物は敷地の北側に寄せて建てられています。建築家の田中さんは、敷地を下見をした当時を以下のように振り返ります。 「眺望のよい敷地の南側が空いていることが気になりました。新築当初はお子さんは幼く、自由に遊ぶ場になっていたそうですが、今はその目的はありません。そこで、南側に増築すればキッチンを広くしたいという奥さまの要望をかなえつつ、この敷地のポテンシャルをより引き出せると思いました」