FRBのバー氏、銀行監督担当副議長を退任へ-任期全う方針一転
(ブルームバーグ): 米連邦準備制度理事会(FRB)のマイケル・バー氏は、銀行監督担当副議長の職を退く。FRBが6日に発表した。
後任が早期に決まる場合を除いて、同氏は2月28日付でこの職を降りる予定。FRB理事としての職務は続ける意向だという。
「監督担当副議長という役職は、世界金融危機後に創設されたもので、FRBの監督と金融システム規制における責務を拡大し、透明性と説明責任を高めることが目的だった」とバー氏は声明で説明。「この役職を巡る議論は、使命からの逸脱につながるリスクがある」と述べた。
銀行監督担当副議長としてのバー氏の任期は、2026年7月までとなっていた。同氏は昨年11月、トランプ次期大統領が同氏の解任に動いても任期を全うする計画だと述べていた。
大手米銀の資本要件を大幅に引き上げる抜本的な規制強化案は、バー氏の副議長退任によってその先行きが一段と見通しにくくなった。規制案は将来の銀行破綻やシステミックな金融危機の再発を防止するためのもので、バー氏はこの交渉で中心的な役割を果たしてきた。
新たな案ではシティグループやJPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックス・グループなどトップクラスの銀行に19%の資本増強が求められる。金融業界はこれに強く反対し、積極的にロビー活動を展開している。
昨年9月、バー氏は資本増強率を9%に緩和するという変更案の概要を提示した。連邦預金保険公社(FDIC)では理事5人のうち少なくとも3人が、この修正案に反対しているとブルームバーグが報じた。
かつて財務省高官として2010年成立のドッド・フランク法策定に貢献したバー氏は、2022年に超党派の支持を得て銀行監督担当のFRB副議長に就任。暗号資産(仮想通貨)や気候変動といったバイデン政権の政策強化へ、大手銀行を日々指導すると同時にルール執行と監督も強化した。
上院銀行委員会の共和党トップ、ティム・スコット上院議員は銀行の資本要件案や地銀危機に関連してバー氏の行動を声明で批判。「責任ある金融監督者が就任するよう」、トランプ次期大統領と取り組む用意があると述べた。