お金は血、財布は拳銃!? 10冊の本で考える「マネーの正体」と上手な付き合い方
ニレ: : 子育てに老後の心配に物価上昇に、お金の悩みは尽きへんなぁ(ため息)。 オジマ: : 【全画像をみる】お金は血、財布は拳銃!? 10冊の本で考える「マネーの正体」と上手な付き合い方 お金ってこんなに身近なだけに、ちゃんと考えてみることが少ないかも。だから余計に不安になるのかな。 ウメザワ: : 確かに、お金ってなんなんだろう。稼ぎ方とか貯め方とか節約方法はたくさん聞くけど、その正体はよく分からないかも。 ヤマモト: : お金には人をつなぐ役割も、人と人の縁を切る役割もあるよね。世の中を活性化させもするし、混乱させもする。そのパワーは、どこからくるんだろう?
お金って、なにに似ている?
財布は拳銃に似ている。懐に忍ばせておいて、いざという時にサッと取り出す。護身用の道具でもあり、同時に人を傷つけたり殺めたりもする。 お金は血に似ている。どちらも命に関わるエネルギーの源だ。流体で生臭くて、輝いている── 。 アーティストの赤瀬川原平による『ふしぎなお金』は、たくさんの「たとえ」とドキッとさせるイラストを駆使して「お金ってなんだろう」を問いかける。 むかし、大きな石がお金として機能していた社会では、うっかり石が海に沈んだあとにも「そこに石がある」という信用に基づいて価値のやりとりが続いていた。 つまり、お金って信用のこと? 約束のこと? じゃあ紙幣やコインはなんなのか。問いから問いへ、お金をめぐる探索に終わりはなさそうだ。
貨幣はなぜ生まれたのか
『貨幣の歴史』(デイヴィッド・オレル/著)と『貨幣の「新」世界史』(カビール・セガール/著)は、貨幣がどのように生まれ、発展してきたかを知るために最適な2冊だ。 貨幣の歴史をさかのぼると、5000年前にたどりつく。メソポタミアで都市文明を築いたシュメール人は、粘土板に楔形文字を記した。そこには、古代の金融システムの姿が刻まれている。 当時はまだコインも紙幣も誕生していなかった。粘土板に残されているのは、政権が取り決めた物価と(例えばオオムギや塩や羊毛が銀何グラムに相当するか)、誰が誰にどれだけの借りがあるかという負債の記録だ。 その後、紀元前7世紀に至ってようやく、現存する最古のコインが登場する。現在のトルコに位置したリディア王国で、金と銀の合金コインが鋳造され、やがて法定通貨を作る風習が古代ギリシャ世界に広がった。 ただしこの頃の金属硬貨はコインそのものの価値が高すぎて、一般市民が日常使いすることはなかった。むしろ独立国家の象徴としての機能が強かったのだ。 貨幣の起源から分かることは、お金はそもそもモノの売り買い(交換)のために生まれたわけではなかったということだ。 むしろ物価の目安など数値を表すツールとして、そして、負債を記録するシステムとして、マネーは人類史に姿を現した。