「就活うつ」「学生の学力低下」「東京一極集中」…先鋭化する“問題だらけの日本の就活”はどう解決したらよいのか?
大学生の大事なキャリアを決める就職活動。現状、経団連は就活解禁を大学3年の3月からとしているが、実際にはそれ以前から夏休みに“インターンシップ”と称した選考に直結する職場体験プログラムが本格化するなど、早期化・長期化が長らく問題になっている。それが原因で就活生の“就活うつ”が話題になるなか、これらの問題を解決する新たなサービスが注目されている。ABABA代表の久保駿貴さんに話を聞いた。 【画像】実際に企業からのスカウト文章ってどんな感じ?
これまで「就活の過程」は無駄とされてきた
久保さんが就活の過程が評価される新サービスを立ち上げたのは、親友が就活に失敗したことがきっかけだった。とある大手企業を志望し、エントリーから8次面接までを無事通過したのだが、最終面接で落とされてしまったという。 「彼は『積み上げたがんばりが一瞬で崩れ去った』とすごく落ち込み、うつ状態になってしまいました。入りたくて仕方なかった志望企業を嫌いになり、その会社の悪口をいうようになりました。そんな彼の様子を見て、『最終面接まで行った努力と実績を無駄にしない仕組みを作れないか』と思ったのが、サービスを始めたきっかけです」 商社や広告代理店、大手メーカーなど、人気の企業には数千~数万のエントリーが来ることもあるため、企業は志望者をふるいにかけるべく、何度も面接やグループワークを行っている。 結果、選考フローの多さや機械的に送られてくるお祈り(不採用通知)メールに就活生は心を病み、「自分は必要とされていない」と就活うつになることも多い。 「内定を得るために就活生たちは多大な時間と労力をかけますが、落とされた時点ですべて水の泡になってしまいます。一方で、企業の最終面接まで残った人はそれだけの実力とポテンシャルを秘めているともいえます。 このような就活の課題解決を目指し、最終面接で落ちた学生に他社からのスカウトが届く仕組みを作りました」 久保さんが取り組むのは、就活の「過程と経験」を評価してほかの企業に優先的に再チャレンジできる機会の提供だ。それによって第1志望に落ちても類似企業や他業界の企業に、書類選考や1次選考などをパスしてエントリーすることができるようになった。 また、企業側は最終面接まで残った優秀な学生にピンポイントでオファーをかけられるようになり、双方にとって効率的な就活の場が実現した。 「サービスを通して、一定の結果を残している就活生の流動性を高めることができたと思っています。学生は就活の習熟度や理解が上がりきったうえでABABAを利用するので、逆にこれまで志望していなかった会社に目を向けられたり、『こんな企業に求められているんだ!』と可能性を広げたりもできます」
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