「就活うつ」「学生の学力低下」「東京一極集中」…先鋭化する“問題だらけの日本の就活”はどう解決したらよいのか?
「今、日本に必要なのは地域活性化と高卒人材の評価だ」
学術レベルの低下や外資系への人材流出以外にも久保さんが懸念しているのは、「優秀な学生の東京一極集中」だ。 インターネットを活用した就活が一般化したことにより、地方からでも東京の大企業へのエントリーが容易になった。その結果、地方の優秀な学生が東京に集中するという事態となっている。 「地方の企業が優秀な学生を確保できないと、地域格差が広がってしまう一方です。また、大学進学の時点での、地方からの学生の流出も問題です。そこで、地元就職やUターン就職を支援するために、企業が学生の出身高校や所在地を確認し、オファーができる仕組みを整えています。『東京の企業に落ちたから地元の会社も見てみようかな』といった人が増えることを狙っています」 また、東京に本社があるような大企業であっても生産拠点や工場が地方にあるパターンは少なくなく、全国転勤可な就職希望者を集めるのに、企業は苦戦を強いられているという。 このような事態を解決すべく、地方の企業や拠点へのサービス導入にも力を入れていき、全国的な人材の循環を目指している。 「また、日本は『高卒人材』をもっと評価すべきです。工業・商業高校などの出身者は地元の会社に就職することが多く、彼らこそが日本の経済を支える大黒柱です。 一方で、日本の大学は学費も高すぎるうえに就職で有利になるために進学する場になっている側面があるので、大学数を減らして本気で学問をしたい人だけが進学できる仕組みにしたほうがよいです。4年間遊んですごして就活に苦戦するより、高校3年間で専門知識を磨いて就職するほうが効率的だともいえます」 久保さんは「最終面接に落ちた企業に再挑戦できる仕組みを作ったり、就活の経歴やがんばりをデータ化したりと、今後は就活の実績を将来のキャリアに生かせる形を整えたい」と展望を語る。若い世代が作り出す就活の新常識に注目していきたい。 取材・文・写真/越前与
越前与
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