中国には「不動産バブル崩壊」の解決策がない…経済復興の見通しがない中国が抱える「ジレンマ」とは
人民元高も人民元安も困る
永濱:ジレンマだと思いますね。結局、人民元はそこまで大きく下がってはいません。やはり、中国当局がある程度より下には下げたくないと思っているのでしょう。要するに、中国にとって過度な人民元高も人民元安もどっちも困るということです。 普通に考えれば、不動産バブルがあれだけ派手に崩壊したので、もっと大胆に金融緩和すべきところでしょう。少なくともデフレを回避するにはそれが最も効果的でしょう。でも中国がそうしていないのは、過度な資本流出を警戒しているからだと思います。 エミン:あると思います。一時、1ドル=7.27元まで上がりましたが、その後急落し、1ドル=7.22元程度まで戻っています。 もう一つ、中国が批判されているのが、「過剰な生産力」の問題。バブル崩壊で中国はモノが売れなくなっている。だからEVの在庫なんかも積み上がっています。 中国としては人民元安にしてなんとか輸出したいところですが、金利引き上げで景気が冷えている欧米にとって、中国からの輸入急増は迷惑でしかない。中国製品の輸入を減らす方向で動いてくるでしょう。中国は輸出主導で立て直すという方針も取れないのです。 『進むインフレで家計が火の車…「日本人の10%しか知らない」生活を豊かにする「驚きの方法」とは』へ続く
永濱 利廣、エミン・ユルマズ