「(最近の日本代表に相当する選手は)謙虚さに欠くところがある」…ラグビー日本代表指揮官が発した「意外なことば」と「キャプテンに求めたもの」
キャプテンに求めたもの
まずはキャプテン選びにこだわった。 チームに多くの若手を集めながら、グラウンド上の指揮官と言えるキャプテンにはベテランを起用した。 6、7月のキャンペーンでは、始動から約1週間のリサーチ期間を経てリーチマイケルを擁立した。リーチはW杯に4度出場し、そのうち2回で主将を務めた36歳。常に動き回るプレースタイルに加え、計画的にトレーニングをする意識、後輩ともメディアともフランクに対話できるキャラクターでも知られた。 フランス大会では出番の少ない若いプレーヤーがロッカールームの掃除をしていたことが伝えられるが、なぜそうしたのかを当事者たちに聞けば「それをリーチさんが率先しておこなっていた」という言葉が返ってくる。新たなボスが信頼するのは当然必然だった。 そのリーチがけがの治療のために抜けた8月以降は、34歳の立川理道がバトンを受け継いだ。第1次ジョーンズ政権期に主軸を張った立川は、鋭い仕掛けとパス、落ち着いたゲーム運びに定評がある。 前年度まではしばらく代表に定着しきれなかったものの、所属するクボタスピアーズ船橋・東京ベイでも昨シーズンまで8季、キャプテンを務め、’22年度には国内リーグワンで初優勝。リーチと同様、グループの格を保つためのいろはを知る。 後輩たちが尊敬するシニアプレーヤーに然るべき振る舞いをしてもらい、組織のモラルを高める。そんなジョーンズの意図は、リクエストされた側にも十分に伝わっている。 立川は頷く。 「グラウンド上では皆、本当に貪欲にひたむきに頑張っているので、僕が特別に言うことはないと思っています。(同時に)グラウンド外で一体感を作ることも大事。そこには、『環境リーダー(後述)』と一緒に協力しながら『いまある自分たちの環境が当たり前じゃない』ということを皆に言って、(遠征先の)各地でいい足跡を残していって…と、オフフィールドがオンフィールドに繋がるような働きかけをしていきたいです」 ここでの「足跡」には、自然とハートリーのような振る舞いをすることも含んでいよう。