リーダーに「教養」を求める企業が急増する背景 上智大学・曄道学長「教養は個性や志を育む」
それともう一つ、「知のエグゼクティブサロン」を上智大学で行っている理由があって、それは上智大学15号館の存在です。これも曄道先生の主導の下、プロフェッショナル・スタディーズ用に15号館という木造の新しい建物を建て、そこを学びの場としている。私はデベロッパーの出身なので、場の重要さというのは仕事で身にしみて理解しているつもりです。学ぶためには、コンテンツを充実させるだけではダメで、場がすごく重要なんですね。
アメリカのビジネススクールなどは、その辺りはとてもセンシティブで、私自身、森ビルでアカデミーヒルズの担当役員をしていたときには、ビジネススクールの先生たちとそうした場づくりの議論を随分させていただきました。 曄道:堀内さんがおっしゃった「場が重要」ということは私も全く同感で、そもそも大学とは「場」であるべきだと思うんです。人が集まり、そこで議論が起こって、そこから何かが生まれるかもしれないという期待感に満ちた場であるべきなのです。
ところが、いまの大学は学生の数も多くなって、空間的にも窮屈なものになってしまっている。なので、少しでも昔のヨーロッパの大学のような、知が交錯する、そういった雰囲気を備えた場が欲しいという思いから15号館をつくりました。 設計者は教室をつくると思っていましたので、当初出てきた設計に対して、私のほうからいろいろ注文を付けた記憶があります。いや、つくりたいのは教室ではなくて、知が交錯する場なんだということを繰り返し説明しながら、何とか完成に至りました。
■30社近い企業が「教養教育」に賛同 堀内:いまプロフェッショナル・スタディーズには40近い講座があるとお聞きしましたが、基本はスポンサー企業の社員が受講するかたちになっているのでしょうか。 曄道:もちろん個人で参加されている方もいますけれども、アドバイザリーパートナー企業会員さんとスタンダード企業会員さんに属する方が圧倒的に多いです。 堀内:企業の会員の方々はどういった問題意識で参加されているのでしょうか。