70年以上続く四条烏丸の老舗寿司店では、にぎり7貫を3,000円から楽しめる!
瀬戸内や大阪など近海から届く穴子は、湯通ししてぬめりを取ってから、酒に醤油と砂糖を加えふっくら煮あげる。白ご飯ではなくシャリと合わせることで、よりすっきりした味わいになり、食べ始めると箸が止まらなくなる。
できあがると、さっと炙った海苔を、女将さんが目の前で揉んでかけてくれる。海苔の香ばしい香りがただよって、それだけでお腹が動き出す。夏になると「鱧ずし」のほか、鱧の白焼きなども登場するという。予約をすれば、鱧の炙りなども用意してくれる。
京名物のひとつともいえる「鯖寿司」も、この店では1本3,500円とお値打ち。上質な鯖を使っているにもかかわらず、こんな値段にできるのは「長年の仕入れルートがあるから」だと女将さん。ほどよく締めた鯖のやわらかな味わいが旨いシャリによく合う。家族へのお土産にと買った客が、新幹線で1貫つまみ、止まらなくなって平らげてしまったというエピソードも。
ここにこの店がある限り通いたい
「いつまで続けられるか」とご主人は言うが、その動きはキビキビとしていかにも楽しげ。店の近くにある自宅で、毎朝6時から数時間かけて仕込みをし、準備万端で店に出るという。開業以来の客もいるし、週に1度か2度、もう何十年も通っている常連もいる。彼らの心にあるのは、ただひとつ。「この店がある限り通いたい」という思いだ。
扉を開けるには、ほんの少し勇気がいるかもしれないが、ぜひ意を決してのぞいてみてほしい。カウンターに座る楽しみを存分に味わえるから。
さか井
住所: 京都府京都市中京区高倉通錦小路下ル西魚屋町592 TEL: 075-231-9240 ※価格は税込。
文:中井シノブ 撮影:高嶋克郎